フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

『ローエングリン』 ドイチェ・オーパー 2010年1月29日

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2010年1月29日(金)Lohengrin
Romantische Oper in drei Akten
Libretto von Richard Wagner
Uraufführung am 28. August 1850 in Weimar
Premiere an der Deutschen Oper Berlin am 23. Juni 1990
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Musikalische Leitung: Michael Schønwandt
Inszenierung: Götz Friedrich
Bühne, Kostüme: Peter Sykora
Chöre: William Spaulding
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Heinrich der Vogler: Kristinn Sigmundsson
Lohengrin: Ben Heppner
Elsa von Brabant: Ricarda Merbeth
Friedrich von Telramund: Eike Wilm Schulte
Ortrud: Waltraud Meier
Der Heerrufer des Königs: Anton Keremidtchiev
1. Brabantischer Edler: Gregory Warren
2. Brabantischer Edler: Thomas Blondelle
3. Brabantischer Edler: Nathan De’Shon Myers
4. Brabantischer Edler: Ben Wager
Brautjungfern:
Rosemarie Arzt, Constance Gärtner, Brigitte Höcht, Antje Obenaus, Gabriele Goebbels, Christa Werron, Brigitte Bergmann, Martina Metzler
Chor der Deutschen Oper Berlin
Orchester der Deutschen Oper Berlin
演出 ゲッツ・フリードリッヒ
ローエングリン ベン・ヘップナー
エルザ リカルダ・メルベート
オルトルート ヴァルトラウト・マイアー

座席 3階9列14番

4時間30分(休憩2回)長い。。。

 やはり売り切れだった。私以外にも売り切れという表示を見て途方に暮れる人たちがいる。でもなんとかその場でねばり、チケットを1枚余らせていたおじさんに売ってもらった。しかも少し安くしてもらって20ユーロ。ラッキー。席は3階(=最上階)の一番後ろの列のほぼ真中。ここの劇場は一番後ろでも舞台からそれほど離れている感じはしない。今日の席もそれほど悪くない。ただここの席は後ろから聴こえてくる空調の音が時折気になる。シーンとしたときだけだが。まあ今日は観れただけ良しとしよう。いつも言うことだが、ドイツでは仮に売り切れだとしても意外とチケットが手に入るものである。余っているチケットを売ってもらったり、またはタダで譲ってもらったりと、今まで売り切れにもかかわらずその場でチケットを入手したことは1度や2度ではなく、上手くいかなかったことの方が少ない。まあそもそも売り切れということ自体があまりないが。

 今日はオーケストラが良かった(マシになっていた)。なぜかオケが昨日とは別の団体かというくらい変わっていた。うるさいこと言わなければ平気なくらいまで良くなっていた。何のせい。指揮者?いや、違うな。不思議だ。

 タイトルロールのベン・ヘップナーは前からドイチェ・オーパーの宣伝新聞でも大きく取り上げられていて注目だった。そして期待に違わぬ歌唱を聴かせてくれたと思う。リカルダ・メルベートは2006年新国『コジ・ファン・トゥッテ』、2007年新国『タンホイザー』に続き3回目、ということにさっき気付いた。個人的には『コジ・ファン・トゥッテ』のときのフィオルディリージが良かった印象、作品自体も大好きということもあり、が残っている。今日も良かったと思う。まあそもそもずば抜けて良いという歌手ではないと思うが。ヴァルトラウト・マイアーはやっぱり上手い。格が一つ違うのが簡単にわかる。存在感が違う。凄まじい、素晴らしい。

 客の方も昨日よりはるかに舞台に集中していた、まあワーグナーのしかもローエングリンを聴きに来るんだからそうだろう。そして思うこと。この作品おかしくないか?(笑)物語がおかしすぎる。へん。あのオランダ人以上に。白鳥の騎士がいきなり絶好の時機に現れ、相手を倒してその後の会話でエルザに向かっていきなりIch liebe dich。いつからだい。というか知ってたのかエルザのこと。前からならさっさと現れれば良かったろ。そして名前も素生も尋ねてはいけないという。そして最後ついに問い質されて全て明かした後にエルザは死ぬという。なんだそりゃ。

 いつもの、いやこれはいつも以上のワーグナー作品に登場する主人公にとって都合の良い超絶献身女性。でも観てるその場では音楽の力もあって普通に観てしまうが、よく考えてみればだ。こういうものはよく考えてはいけないという人もいるかもしれない。『さまよえるオランダ人』のように7年に一度だけ上陸できてそこに上がってきたのはたまたまで、そうして出会い、でもゼンタの方は前から何か感じていてというくらいなら良いと思うが。『ローエングリン』はおかしい。

 音楽はとても美しい。さすが作曲された当時から熱狂的な信奉者がいるだけのことはある。ワーグナーの最大の後援者でありその音楽の信奉者でもあったルートヴィヒ2世もこの作品がお気に入りだったという。それもわかる気がする。実際にこの作品をしっかり観ればその陶酔感はたまらない。

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