フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ベートーヴェン・ブルックナーツィクルス ベルリン国立歌劇場管弦楽団 バレンボイム フランク・ペーター・ツィンマーマン 2010年6月22日 フィルハーモニー

2010年6月22日(火)Staatskepelle Berlin Beethoven-Bruckner-Zyklus

Beethoven Violinkonzert Frank Peter Zimmermann

Bruckner Nr. 6

14,6,8,10,12 Fl1,

16,8,10,12,14, Hr5, Tr3、ティンパニ昨日と同じ人、ホルン今までアシだったあの女の人が今日はトップ、

アンコール、バッハ イ短調3楽章

右の立ち見席、前半は撮影無し、少なくともカメラのところに人はいなかった。

 今日は6番でメインの交響曲がやや弱い分前半にツィンマーマンとヴァイオリン協奏曲をやって集客の面で埋め合わせるという上手いプログラム。それで6公演のうちどれも切りがたくなるという。他の交響曲は黙ってても来るしね。個人的にはツィンマーマンもそうだけど6番にも関心が高かった。というのは今月初めにベルリン・フィル&ブロムシュテットでこの6番を聴いていたから。同じ月にベルリン・フィルとシュターツカペレで同じ曲を、しかもブルックナーの6番聴くことになった。今日聴いて6番もなかなか良いと思うようになった。2楽章が特に良い、3楽章も良い。4楽章は…。

 ツィンマーマンとの協奏曲は純粋にきれいでなんか時間が早く過ぎ去っていった。音がきれい。あぁ、あのカデンツァ。ムローヴァとは違う、というかこっちの方が断然大勢を占める弾き方だと思うけど、重音がきっちりとバランスを保ってピターッと秩序だって鳴る響きは溜め息が出るほど美しい。でもバッハはあれじゃないんだよな。まあこのあいだはムローヴァはバッハ風の重音の弾き方をシベリウスに持ち込んで面白い演奏したということで。というか彼女自身がバッハの方に引きずられているということだろう。ベートーヴェンの2楽章はなんでもいいなぁ。そして3楽章でもまたヴァイオリンなんてきれいな純粋な響きなんだ。美しい。オケも良く演奏していた。良い協奏曲だった。こういうのも、こういうのが、良い。ラトル&内田も良いけど、ただ両者ともにすごい個性ある音楽家で演奏に緊張感や凄味はあるけれど、逆に安心感は無いということに。今日の協奏曲は連日の交響曲と違った聴き方だった。単純に身を浸して聴けた。アンコールはみんなシーン。良い時間だった。

 そして6番。昨日の大編成から一転普通の、ってこれでも十分大きい編成だけど、ブルックナーとしては普通の編成で、逆にこの方が響きの統一感があって美しい。特に弦は。個人的にはベルリン・フィル&ブロムシュテットより良かった。全体の動きにはみ出しが無くて良く統一されていて。1楽章冒頭もずれはほとんどなかった。少なくともベルリン・フィルより、それも2日目の。いつも思うことだけど、今日のバレンボイムの指揮(解釈)演奏のさせ方は本当にそれが彼自身がピアニストであることからきているなと感じさせる。3楽章の3トロンボーンとチューバの上がる音形をすごい強調して、今まで聴いたことのないような響き。あれは凄かった。バレンボイムからすると昨日のピアノ3番でも自身が聴かせたように左手の使い方のようなものなんだろう、強調して、浮き彫りにして、彫りの深い演奏。スコアを読むときに多かれ少なかれそういう発想があるのだろう。4楽章の後半手前、インテンポ若干アッチェレランド気味で長いゲネラルパウゼ。あぁ、良い。4楽章でホルンの4番間違えた?1小節早い?まぁいいとして、2番がPPで吹くところすごい音が震えてるから今日はアシのいつもトップのあのホルン奏者の人が笑ってるように見えた。ティンパニは前回疑問だったところは完全にトレモロだった。こっちのほうが普通だと思うけどどうなんだろう。あの冒頭の動機と同じ音形のやつはヴェルツェルの方が上手かった。今まで今日の人ひいきにしてた、って実際上手いけど、今日の同じ曲での同月での比較でやっぱりヴェルツェルが上手いなって思った。曲、このくらいの長さがちょうどいい。今日凄い思った。昨日があれだけ長丁場だっただけに。6番はあまり良くないと思ってたけど今日の良い演奏で良い曲だと思うようになった。一番は2楽章かな。あと3楽章。5番の動機がはっきり出てくるのも面白い。しかもツィクルスだから、あ、昨日聴いたメロディーってなって余計面白い。4楽章はダメっていうのがあったけど、で確かに冒頭とかは、あれって感じだけど、3楽章まで聴いてきてあの冒頭はなんかてんで雰囲気が違うんだよな。でも始まればそんなに悪くない。バレンボイムも4楽章は良くないと感じてるかどうか知らないけど、その不足を補うためにかどうかは知らないけど、とりわけ4楽章は多分に劇的に、ロマン風に濃く演奏してた。でもすごいはまってたと思う。あのゲネラルパウゼ等。途中も急に弦を抑えて木管聴かせたり。

 バレンボイム、カーテンコールで今日のホルントップの女性を長く立たせてあげてた。それでパートで立って、その後またもう一度トップだけ起立。今日は良い満足感、充実感があった演奏会だった。

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