フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ブログを始めていつの間にか1年

 気がついてみれば先月でブログ開始から1年間が経過していました。最初は手探りで、テンプレートどうしようかとか、プロフィール書いたりその質問考えたり、そのうち文字の大きさとか行間とか。。。リンク張り始めたり、本棚設置したり。最近でもまだいろいろな面を徐々に改善していこうと工夫しようと試みています。圧縮した写真(画像)をもっときれいに載せるにはどうしたらいいのか試験中。時折、他の方のブログでやけに鮮明な写真がのっているのを見ると、なんでこんなきれいなんだ、と不思議です。今日も少し試していました。そして一つ(多少の)改善策に辿りつきました。圧縮はパソコンについている「ペイント」で行い、その後画像画面の修整で「コントラスト」や「色の鮮やかさ」を少しプラスすると多少見栄えを良くすることができました。前からブログに掲載すると色がなんとなく薄いのが気になっていたのでとりあえずしっかりした色合いにはできそれなりに満足。あとは元のカメラの性能の差かな、と思ってやり過ごしていける程度の満足感には到達しました。

 そうしてとりあえずの解決策を見つけた後、久しぶりに少しカントを。最近読んだ『知性の限界』(講談社現代新書)の後半にカントの話が出てきます。登場人物のカント主義者が司会からやっと話をさせてもらえる場面(p. 239以降)で、『純粋理性批判』に出てくる4つの二律背反(アンチノミー)について説明します。例として第一の二律背反、「世界は時間的・空間的に有限である」と「世界は時間的・空間的に無限である」が取り上げられていますが、この部分の説明が本書の他の部分に比べて若干足りない感じがしていて、おそらくこの部分にはわからない人が出るだろうなと思いました。そこで、そういえば元のカントの説明はどうだったけな、ということでとりあえずの確認のため『純粋理性批判』の翻訳(平凡社ライブラリー)を取り出し、その部分を読んでみました(ちなみに当該個所は中巻の215頁以降です。この著作の慣例による表記ではA427/B454からです。岩波文庫版の方はこのB(=第二版)の数字参照)。

 カントの文はいいですね。気持ち良いです。一文一文が長く、ガチガチの文体ですがなかなか良いものです。ヘーゲルも難解で有名ですがそれとも少し違います。翻訳でも原文の雰囲気に引っ張られているんだなということが読み取れます。

 それで内容は?、ということですが詳しく書いていると日が暮れる(日が昇る)ので別の機会に譲ることにして。。。というのもなんなので、ただ簡単にいうと、わかりづらいだろうと思ったのは「世界は時間的・空間的に有限である」(紹介した翻訳では『世界は時間において始まりをもち、だから空間からみても限界によって囲まれている』。ここの、だから、という訳は正確でないと思います。単に、そして、で良いと思います。)の証明部分です。カントが言うには「世界が始まりをもつとするとそれ以前に空虚な時間を想定しなければならないが、空虚な時間においては物の生起は不可能であるから」矛盾する(偽である)ということです。始まりを決めたらそれ以前の空虚な時間など想定しなくていいじゃないか、という疑問を上記の本の読者は持つかもしれないと思いました。カントが言っていることをわかりやすく言えば、例えばビッグバンという始まりがあるとして、それが起こる前はどうなっていたのか、ここに空虚な時間時間を想定しなければならない。しかしそこでは物は生起しない、つまり無からは何も生じないということで、偽となります。言うのが遅れましたがこの第一の二律背反は両方とも偽となるものです。

 と、説明はこのくらいにして。翻訳を読んでいたら久しぶりに原文まで読みたくなってきてペラペラとはめくれませんが、ちらちら眺めて、こんなことしてる場合ではない!と我に返り今日のところは終わり。

 ちなみに上記の『知性の限界』すごい面白いですよ。読んでみようという方はぜひ前編にあたる『理性の限界』(講談社現代新書)もありますのでお薦めします。amazonのレビューでも絶賛されてるようですね。これは面白いです。

 『純粋理性批判』。平凡社ライブラリー版は岩波文庫版よりはるかに読みやすいです。岩波の方が安いですが、どうせ買うならこちらの方が良いと思います。光文社古典新訳文庫版もありますが、純粋な翻訳というよりは解説が膨大すぎて「『純粋理性批判』読解」みたいな本になっています。全7冊になるということがそれを物語っています。別に悪いということではなくて、本当に興味をもって詳しく知りたいというのであれば良いと思います。高い評価も多いようなので。ただ、ひたすらわかりやすさ、理解することを追及している点からも純粋な翻訳とは言えないと思います。原文が難解ならその翻訳も難解であるはずです。目的に合わせて購入することをお勧めします。

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