フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ヴェルディ『リゴレット』 2013年10月16日 新国立劇場

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ヴェルディ『リゴレット』

2013年10月16日 新国立劇場
指揮:ピエトロ・リッツォ
演出:アンドレアス・クリーゲンブルク
リゴレット:マルコ・ヴラトーニャ
ジルダ:エレナ・ゴルシュノヴァ
マントヴァ公爵:ウーキュン・キム
東京フィルハーモニー交響楽団

座席 4階3列5番

 新国立劇場2013/2014年シーズンオープニング公演のヴェルディ『リゴレット』を観た。少し間があいてしまったが、簡単に感想を。

 まず、新制作で演出がドイツの演出家クリーゲンブルクということだったが、観ている間にこれといって冴えてるとか素晴らしいなどとは思わなかった。設定を21世紀に移そうが舞台上で演奏させようが何をしようがそれはまったく構わないのだが、この演出は特に何も感じない2流のそれだった。ただそれ以下ではなかったので苦にはならなかったというところ。ただ厳しく言うと『リゴレット』の悲劇性を弱めてしまっている気がする。人間があまり前面に出てくるように感じられなかったからだ。演出だけで言えば、5月に観た同じヴェルディ、コンヴィチュニー演出の二期会による『マクベス』の方がはるかに上をゆく(→ヴェルディ『マクベス』 2013年5月1日 東京文化会館 二期会 コンヴィチュニー)。少なくとも今回は、演出によってハッとさせられような瞬間は1秒たりともなかった。

 音楽面では歌手主要3役が皆良かったので楽しめた。マントヴァ公を歌うキムの見た目がもっと良ければ言うことはなかったが声はよく出ていた。リゴレットとジルダはまさに文句なし。新国立劇場のキャストが平均してこのくらいの水準であれば…。オケの水準も向上することを期待したい。

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