フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ウィーン交響楽団/ティチアーティ/クリスティアン・テツラフ ウィーン・コンツェルトハウス 2015年4月21日

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Wiener Symphoniker

Christian Tetzlaff, Violine

Robin Ticciati, Dirigent

 

Robert Schumann

Konzert für Violine und Orchester d-moll WoO 1 (1853)

***

Anton Bruckner

Symphonie Nr. 4 Es-Dur «Romantische» (1873-1874/1878-1880)

 

アンコール

バッハ ヴァイオリンのための無伴奏ソナタ第2番よりサラバンド

 

 

14, 12, 10, 8, 6

16, 14, 12, 10, 8

座席 3階13列4番

2回公演の初日

 

 一音一音歌うように指揮したいんだろうが、バトンテクニック的にもそうしたいのが伝わってくるが、息の長いフレーズ感が損なわれている。この音が次の音に、次の音がその次の音に、とつながっていく音楽の緊密な構造が壊されている。これは特にブルックナーで明らか。木を見て森を見ずと言ったところで、その場の一音一音を頑張って演奏する下手なアマチュアみたいな演奏に。あっちで鳴っている音とこっちで鳴っている音が全然つながってこない。オケとしての響きの作りが全く感じられない。そもそも気にしてますか、というくらい感じられない。ブルックナーの第3楽章では弦と管がずれにずれて、そこをどうするかと思ってたら何もせずにそのまま事故るし。おいおい。なかなかの事故ぶりで、久しぶりに聴いているこっちが焦らされた場面だった。

 騒がれているが皆本当に良いと思っているのか。若くしてすでにこれだけ経験を積んでいる指揮者で、今後どうなるかわからないが(もっと売れていくだろうが)、今の時点でそれほど騒ぐほどの指揮者ではないと思うが...。実のところせいぜい、なんとなく新しい、気がする...くらいでは。やりたいことをちゃんとやる指揮者には見えたので、勢いがはまる曲であれば、新鮮味に飢えている聴衆受けはきっと良いだろう。モーツァルト、ベートーヴェン、シューマンなど、比較的短いフレーズ、モチーフが重なっているような曲なら面白く聴いていられるだろうと思った。ブルックナーのような本当の大曲は手に余っている(あの振り方からしてもこの指揮者はブルックナーの音楽(の本質)を、少なくとも朝比奈隆やヴァントなどがしていたであろうような形では、理解していないと思う)。

 指揮者だけでなくオケについても聴きながら思ったことをひとつ。このオケはブルックナーを演奏し慣れていないのではないか。指揮者が誰であれ、オケの力で持っていける部分があると思うが、そういう底力を今日は感じなかった。

 

 前半はそもそも曲がつまらないし、ひどいブルックナーを聴かされて久々にずっと退屈な演奏会だった。ウィーン交響楽団ほどのオケを振ってここまでくだらないブルックナーを聴衆に聴かせる腕前には驚いた。

 

 なんでこの演奏会のチケット買ったんだっけ、って感じだがまあいいか。

 

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 帰宅してyoutubeで彼が指揮するローエングリン第1幕への前奏曲とシューマン交響曲第2番を聴いてみた。ローエングリンは途中であきれてやめ。シューマンはテンポの速い楽章、短いパーツを面白く聴かせて押し通せるものは多分聴いていて、面白い、という感想になるだろう。人気の高いベルリオーズの録音もそういうことでは。

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