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フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』(1)買ったきっかけとメモ

書籍(音楽関連)

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私の人生において何がまずはじめにあったのか、もはやわかりません。ワーグナーへの思いだったのか、指揮することへの思いだったのか。
クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』

(Christian Thielemann: Mein Leben mit Wagner, Beck, 2012)

 2012年に刊行されたティーレマンの本*。第1章はいわゆる自伝、第2章、第3章はワーグナーについて語る。

 1.ワーグナーに至る道(Mein Weg zu Wagner)

 2.ワーグナーの世界(Wagners Kosmos)

 3.ワーグナーの音楽劇(Wagners Musikdrama)

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* Christian Thielemann: Mein Leben mit Wagner, Beck, 2012. 英語に移せば"My Life with Wagner".

買ったきっかけは、5月20日と21日のシュターツカペレ・ドレスデン/ティーレマンの演奏会

 この本を買ったきっかけは、5月20日と21日に行ったシュターツカペレ・ドレスデン/ティーレマンの演奏会(→「シュターツカペレ・ドレスデン/ティーレマン/ギドン・クレーメル グバイドゥーリナ&ブルックナー ウィーン楽友協会 2015年5月20日」&「シュターツカペレ・ドレスデン/ティーレマン/ゲルハーヘル ワーグナー&シューベルト&ブルックナー ウィーン楽友協会 2015年5月21日」)。

 それぞれブルックナーの第9番と第4番がメインの(2日目の前半に少しワーグナーもあった)演奏会で、2日目に関する記事にコメントを書いてくださった方のブログを拝見し本の存在を知り購入した。役者が文章を朗読したオーディオブック(CD5枚)もあったので買ってみた(CDを流しておいて聴く方が楽だと思ったので)。

 先月、到着した日にざっと全体を眺めて、その日は序文だけ読んだ。たった2頁だが、先を読みたくなるような面白い序文。今月に入ってから続きをざっと読んだ/聴いた。

 第1章の話題は、どんな家庭に育ったか、どんな楽器を演奏してきたか、どんな音楽を聴いてきたか、どんな指揮者に出会ってきたか、など。ただし、(この本を買う人の多くが抱くであろう想像、期待にはおそらく反して)この自伝的な部分は全体の10分の1程度。ここは単純で、読めば読んだだけ面白く、特にファンは楽しいだろう。第2章はワーグナーに関わる歴史を語る。ワーグナーのこと、バイロイトのこと、ワーグナー指揮者たちのこと。音楽、歴史、政治...。ワーグナーとメンデルスゾーン、ワーグナーとヒトラー、ナチス、バイロイト音楽祭の歴史、詳しいことを知っている人もいるだろうしあまり知らないで読む人もいるかもしれない。この第2章は、どちらかと言うと何が(=was)書いてあるかを単に追って読む第1章とは違って、ティーレマンが歴史をどのように(=wie)語っているかに注目して読むところと言える。第3章はワーグナー作品のティーレマンによる紹介。『妖精』、『恋愛禁制』、『リエンツィ』を含む。オーディオブックには所々、本人の指揮によるワーグナーの音楽が入っている(おそらく過去に出たいくつかのCDからの抜粋だと思う)。

 

 ここでは最近ざっと読んで記憶に残っている面白いと思ったことを以下にメモとして書いておく。

メモ:

 子供のころから家庭には音楽があったこと。父は絶対音感を持っていて、受け継いだこと。小さい時から両親がベルリン・フィルの券を定期購入していたこと。最初は指揮者が不思議な笑える存在に見えていたこと。カラヤンに接した時に初めてそれが有機的でありうることを体験したこと。1985年のカラヤン指揮者コンクールで落選した時のこと(26人中21番目で、20分の持ち時間でいろいろ細かくやろうとし過ぎて課題曲『トリスタン』前奏曲の19か20小節くらいまでしかできなかった)、それでもカラヤンは自分の側だったこと、18歳でピアノで音大の演奏試験に合格すると同時にヴィオラ奏者としてベルリン・フィルのアカデミーに入ったこと。自分の才能はわりと早く見出されたこと。バイロイトのこと、指揮することに関してクナッパーツブッシュがひとつの大きな目標であること、ワーグナーには個人的には出会いたくないこと、言葉と音のこと、解釈のこと、上演のこと、等々...。往年の有名な指揮者の名前も多く出てくる。

(2)では序文を紹介したい。

((2)に続く)

クリスティアン・ティーレマン著

Mein Leben mit Wagner

C. H. Beck

(ドイツ語) ハードカバー

2012/12


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