フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

リンツ日帰り【前半:リンツ観光】

 9月9日に日帰りでリンツに行ってきた。ザンクト・フローリアン修道院にも行ってきたので前後半に分けて紹介したい。ここでは前半のリンツ観光について。

 ウィーンからリンツまではrailjetで1時間15分。ウィーンとザルツブルクのだいたい中間に位置する。railjetの場合、途中で停まるのはザンクト・ペルテンの1駅。

 難民の件で連日ニュースになっているウィーンの西駅(Westbahnhof)も特に混乱はなく、構内でパンとコーヒーを買い6時30分発の便に乗る(注:2015年12月からはウィーン中央駅から出ている)。リンツには7時45分に到着。当日はやや雲が多かったが、ときどき日が出て快適。

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リンツ中央駅


リンツとザンクト・フローリアン修道院の回り方

 今回の一番の目的はザンクト・フローリアン修道院。ザンクト・フローリアンへはリンツ中央駅からバスで南へ30分ほど行かなければならない。バスの本数が少ないのでリンツ観光の時間を踏まえ時間配分をよく考える必要がある。14時30分からブルックナー・オルガンの演奏、15時からガイドツアーがあるのを知り、それに合わせてリンツ中央駅を13時に出るバスに乗ることにした。リンツは朝に着いてから12時30分くらいまでざっと観てきた。

先に感想を一言で言うと:リンツに住んだら気持ち良いだろうなぁ。

今回のリンツ観光コース

リンツ中央駅→リンツ州立劇場音楽劇場→新大聖堂→中央広場→旧大聖堂→モーツァルトハウス→州庁舎→中央広場→ドナウ川沿いから階段を上りリンツ城博物館のある丘へ→中央広場→シュティフターハウス→ブルックナーハウス→レントス美術館→ニーベルング橋→新市庁舎→中央駅へ戻る
*途中に立ち寄ったいくつかの教会など省略。すべて徒歩。

リンツ市街地図
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 念のため先にバスターミナルを確認しておいてから、中央駅の案内所でリンツの市街地図をもらいまずは近くの公園前にあるリンツ州立劇場の音楽劇場へ。

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2013年4月11日にオープンしたリンツ州立劇場の音楽劇場(Landestheater Linz Musiktheater)。リンツ州立劇場のオペラ/オペレッタ、バレエ、ミュージカル部門が新しい場所を得て、これまでの大劇場は演劇用の劇場になった。

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リンツ州立劇場音楽劇場、正面。

 入りたかったがまだ8時30分くらいで開いてなかったので後でもう一度寄り中を少し見学した。受付とそこに置いてあるプログラムをちょっと見て、と思っていたが、階段を上がっていけそうなので2階へ行ってみた。もうホールへのドアが目の前にある。3階にも行けた。客席に入る以外はその辺を見て回れる。ここまで自由に入れるようになっているとは。大きくはないが空間がとても開放的に作られている。2階の隅に設置されたスクリーンで紹介映像が流されていたので途中から最後まで観た。良くできていてガイドツアーで回って観てきた気分。建物の作りや、公演の様子、舞台、客席、途中でアーノンクールへのインタビューもあった。建築はロンドン出身のテリー・ポーソンの設計による。客席約1200。座席は前後の幅が広く取られ、傾斜も的確に付けられ、快適な鑑賞空間を創出しているとのこと。リンツ州立音楽劇場、ここで鑑賞してみたい。もう絶対楽しいよここ。ほんの少し中に入っただけでわくわく感が半端ない。

リンツ州立劇場 音楽劇場/建物について
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© Landestheater Linz

 その後Landstraßeを中央広場に向かって歩いていく。路面電車が走っていていろいろな店が並ぶにぎやかな通り。この通りとMozart通りがぶつかる十字路Mozartkreuzungを左に行くと新大聖堂に着く。

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新大聖堂

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塔の高さは134m。ウィーンのシュテファン寺院(137m)に次ぐオーストリア内で2番目の高さ。


 新大聖堂は中もとても素晴らしく少々長居した。Landstraßeに戻り、再び中央広場の方へ歩いていく。

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中央広場。中央辺りにある旧市庁舎は観光案内所になっている。まっすぐ行くとドナウ川に架かるニーベルング橋。立ち位置から右に行くと旧大聖堂、左にモーツァルトハウス、州庁舎。

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旧大聖堂

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ブルックナーはここで1856年から1868年までオルガニストを務めた。1860年からは合唱指揮者も務めた。
Anton Bruckner/ 1824-1896/ Domorganist/ 1856-1868/ und Chormeister der/ Liedertafel Frohsinn

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モーツァルトハウス。リンツ交響曲が誕生した建物。

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Hier entstand 1783 Mozarts Linzer Symphonie.
演奏会を準備しているところだったトゥーン伯爵は、客であるモーツァルトに何か演奏できるか聞いた。楽譜をひとつも持ち合わせていなかったモーツァルトは親切な伯爵をがっかりさせないためにも新しい交響曲を作曲することにした。3日間で仕上げ、1783年11月4日に初演された。

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モーツァルトハウスの真向いには州庁舎。1612年から1626年までケプラーはここで講義をしていた。

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州庁舎、反対側から

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中庭。ケプラーを称え作られた惑星の泉


 近くにある州立劇場を観てから中央広場へ戻りドナウ川の方へ。川沿いを同じ方向に歩いていた男性から階段があるところで、上は景色が良いと声をかけられ上ることに。見晴らしの良いところまで来て写真を撮ろうとしたときその男性が話しかけてきてほんの少し会話。たいした話はしていないが途中で、君の発音は素晴らしいね、音楽を学んでいるの?と聞かれる。発音が美しいので何か楽器をやっているのではないかと思ったと。学んでいるわけではないが以前トロンボーンをやっていました、でもだいぶ前ですと答えたところでTschüss、さようなら。そして再びドナウ川を眺める。リンツ城博物館もこの丘にあったのでどのみち上ってきてよかった。

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丘の上から。

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リンツ城博物館

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© Linz (www.linz.at)
Peter Dimmel "Nibelungenschiff" (1957)(「ニーベルングの船」)

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Burgundenboot.JPG#/media/File:Burgundenboot.JPG
Peter Dimmel "Nibelungenschiff", Gunther und Volker von Alzey(グンターとフォルカー・フォン・アルツァイ)

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Hofgasseを下って中央広場へ。ここで思いがけない発見。

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1805年に今で言う教員養成学校となったこの建物。

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ブルックナーとリルケがここで学んだ。ブルックナーは補助教員として1841年にここを去った。

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シュティフターハウス

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ブルックナーハウス。1974年3月23日にオープンしたコンサートホール。

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ニーベルング橋から見るドナウ川。この方向にずっと進めば先月行ったヴァッハウ渓谷にたどり着くことになる。


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新市庁舎

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帰りは反対側から。さっきいたリンツ城博物館のある丘。

 このままリンツ中央駅までまっすぐ戻り、バスターミナルから410番のバスでザンクト・フローリアン修道院へ。

 これまで他の街を訪れた時にはあまり思ったことはなかったが、リンツは住んでみたいと思った。歴史と文化。落ち着きがありモダンな音楽劇場もある。すぐそばにはニーベルングの歌を連想させるドナウ。ウィーンとザルツブルクのほぼ中間にあり、どちらにも1時間と少し。

【後半:ザンクト・フローリアン修道院】につづく。

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