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フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

リンツ日帰り【後半:ザンクト・フローリアン修道院】

その他日々のこと

 午前中にリンツを観て回ってこれからいよいよザンクト・フローリアンに向かうところだが、その前にザンクト・フローリアン修道院について、修道院とブルックナーについて、そしてブルックナー・オルガンについて少し触れておこう。

ザンクト・フローリアン修道院

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 地名と修道院名のザンクト・フローリアン(St. Florian)=聖フローリアンの名はローマ帝国時代に生きた聖フロリアヌスにちなんでいる。ディオクレティアヌス皇帝によるキリスト教徒迫害(303年)により、フローリアンは304年に殴打され石につながれ川に沈められた後この地に埋葬された。この土地には4世紀に建てられたローマ時代の壁が一部残っているが、修道院がいつ・誰によって建てられたかは知られていない。800年頃の時点で文書で言及されているという。修道院の真隣には消防博物館があり、それもフローリアンが消防の守護聖人であることに関係している。


ザンクト・フローリアン修道院とブルックナー

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© Stift St. Florian
 ブルックナー(1824-1896)はザンクト・フローリアンより少し西に行ったところにあるアンスフェルデンに生まれ、1837年にザンクト・フローリアン修道院の少年合唱団員となる。1840年になるとリンツの学校で教員養成コースに通う(当日の午前中にこの建物を偶然発見した→リンツ日帰り【前半:リンツ観光】を参照)。1841年にその学校を去り補助教員となった後、1845年からザンクト・フローリアンの学校の補助教員となったブルックナーは1848年から修道院のオルガンを担当するようになり1850年から55年まで正式にオルガニストを務める。1856年から1868年までリンツの旧大聖堂のオルガニストを務め(→リンツ日帰り【前半:リンツ観光】を参照))、その後1896年に亡くなるまでウィーンに住む。修道院のオルガニストを務めていた時期以外、ウィーンにいた時も、ブルックナーはしばしばこの修道院に来ていた。ここのオルガンを弾くためである。1896年10月11日にウィーンで亡くなると、楽友協会の道を挟んで向かいにあるカールス教会で葬儀が行われた後、10月15日にはブルックナーの願いに合わせてザンクト・フローリアン修道院教会のオルガン真下の地下に棺が置かれた。いつでもこのオルガンの音を聴くことができるように、という願いであるという。

ブルックナー・オルガン

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 1770年から1774年にスロヴェニア出身のフランツ・クサーヴァー・クリスマン(Franz Xaver Krismann)によって作られた。当初は74の音栓(ストップ)と5230のパイプを持ち、1886年まで国内最大のオルガンだった。幾度かの拡張により103の音栓と7386のパイプを持つこのオルガンは現在でもオーストリア最大級のオルガンのひとつ。ウィーンに移ってからもしばしば弾きに戻ってくるほどブルックナーに愛されたこのオルガンは、1930年よりブルックナー・オルガンと呼ばれるようになった。

リンツ日帰り【後半】―リンツ中央駅からザンクト・フローリアンへ

 では旅の続き。リンツをざっと観て回ってリンツ中央駅のバスターミナルに戻り、410番のバスに乗りいよいよブルックナーゆかりのザンクト・フローリアン修道院へ向かう。
(前半のリンツ観光についてはこちら)

 券はバスに乗るときに運転手に「St. Florian Gendarmerieplatzまで往復で」、と言って買った。6ユーロのTageskarte(一日券)。券を受け取り空いている座席へ。
 リンツの市街地を抜けると丘陵地帯が広がる。ちょうど太陽も出て、美しい風景を眺めながら移動。近づくとすでにバスの中からも修道院の教会が見える。ちょうど30分たった頃に目的の停留所St. Florian Gendarmerieplatzに到着。
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13時30分、停留所St. Florian Gendarmerieplatzに到着。ちょうど木に隠れてしまっている部分に修道院の教会。(後からわかったが、2つ手前のSt. Florian Einsatzzentralで降りた方が早く、そして修道院正面入り口から入れる)

ザンクト・フローリアン修道院訪問

 修道院の教会はすでに見えているので迷わず歩き始める。小さな美しい村だ。

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そこに広場が見える

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小さな広場

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表示を見つける。

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本当に小さな広場。レストランで食事をする人たちがちらほら。

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階段が見える。

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ここを行けばいいのか。

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進む

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外の光が。

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するとそこはブルックナー交響曲の散歩道。

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ブルックナー交響曲の散歩道。後から知ったが、この道はアンスフェルデンにあるブルックナーの生家に通じている。約9キロ。10の休憩所にはブルックナーの交響曲などについての解説が書かれたプレートがある。没後100年の1996年に設置された。(道について→A.B. SymphoniewanderwegAnton Bruckner-Sinfonie Wanderweg

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ブルックナー交響曲の散歩道、修道院方面

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ここで完全に裏口の方から来ていることに気づく。でも、正面から入った場合、ブルックナー交響曲の道の存在を知らなければこちら側まで来ないと思うのでよしとする。むしろ得した気分。

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修道院裏口

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修道院教会

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修道院教会内部

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ブルックナー・オルガン

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修道院教会反対側(入り口側)から

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「入り口」は向こう

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お土産などを売っているお店。ここでオルガン演奏とガイドツアーの券を買う。セットで11ユーロ。ガイドツアーは1時間のと皇帝の部屋見学を含めた1時間30分のコースがあったが帰りのバスに間に合わなくなるので1時間のほうにした。店員の女性はとても丁寧。演奏が始まる14時30分までに教会にいてくださいとのこと。


念のため帰りのバス停の場所を先に確認しておこうと思い外へ。

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帰りに使う修道院出てすぐのバス停付近の標識。Bruckner Straßeとあったので撮影。St. Florian Einsatzzentral停留所から修道院へ続く道がStift Straße。

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「入り口」

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Willkommen!

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「入り口」から来てまず目に入る風景

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中庭

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中庭

 14時30分からのオルガン演奏を聴くために教会へ。遠足かなにか、修道院の見学に来ていた子供たちのグループも演奏開始前にぞろぞろ入ってきた。

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ブルックナー・オルガン。演奏前


 ブルックナー・オルガンの演奏については別の記事で書きたい。25分ほどの演奏を聴いた後、ガイドツアーに参加するため急いでチケットを買ったお店へ。

ガイドツアー

 15時にお店の中に集まる。すでに参加者がオーディオガイドと解説文が載った小冊子を手にしている。ガイドツアーは全部で10人くらい。イタリア人の夫婦など。確認していないが多分日本語のオーディオガイドは無い、と思う。お年を召した女性がガイドしてくれる。
 ブルックナー・オルガンは聴きたいけどガイドツアーは別にいいかな、ドイツ語も分からないし、と思っている人もガイドツアーに参加した方が良い。ガイドツアーでしかオルガンの真下、地下に眠るブルックナーの棺を観ることができない。

 日本のクラシック音楽ファンにとってのもうひとつ見どころは大理石の広間。 f:id:jutta_a_m:20150913051110j:plain
大理石の広間

 この大理石の広間が、朝比奈隆/大阪フィルのあのブルックナーの第7番が演奏された場所である(ブルックナー・オルガンがある教会の方ではない)。

ブルックナー:交響曲第7番

ブルックナー:交響曲第7番

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 この時のガイドツアー参加者はおそらく全員外国人(ひとりドイツ語母語話者のお年寄りがいたが多分ドイツ人)。参加者中ドイツ語を話すのはそのお年寄りと私だけ。そしてその人はマイペース&スローペース、他の参加者はオーディオガイドを耳にあててあちこち観ているのでガイドの女性はほとんど私に話しているようなもの。初回の解説後に、よく理解していることに驚いたガイドの女性が話しかけてきたのでウィーンにいることを話した。大理石の間を観終えた後あたりでは歩きながら、"Ich bewundere"(bewundern 感嘆・感心する)と言われた。この日は午前中もリンツで褒められたなぁ。
 教会内にも入りブルックナー・オルガンについても解説してくれる。その後いよいよブルックナーの棺がある地下へ。ブルックナーの棺以外にも多くの棺がある。ブルックナーは一番奥に。背後にはこの地で発見された6000人の遺骨がある。(地下の写真は撮らなかった)

 ブルックナーの棺から戻ってきたところで約1時間。ここで皇帝の部屋を見学しない人はお別れ。私はここでグループを離れてからバスの時間に合わせて修道院を出てすぐのバス停に向かった。バスに乗りリンツ中央駅へ。戻ってから予約してあるウィーン行の電車まで少し時間があったのでリンツ州立劇場・音楽劇場を少し見学しに(前半の記事でリンツ州立劇場・音楽劇場について書いたが、実際に中を見学したのはこの時、リンツ中央駅に着いてから)。

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リンツ中央駅

 劇場見学から戻り、リンツ中央駅で出発まで軽食をとる。夕暮れの中ウィーンに向かって走り薄暗くなったころに到着。長く、良い一日だった。

 最後に。ウィーンやザルツブルクであれば多くの情報があるが、ザンクト・フローリアンについてはあまり多くないと思うので情報をまとめておこう。

ザンクト・フローリアン修道院 情報まとめ

【ブルックナー・オルガン演奏】
5月24日から10月11日まで
毎日(火曜日と土曜日を除く)
約25分 4.5 EUR

【ガイドツアー】
5月1日から10月11日まで
11時、13時、15時に開催
1時間コース 8.5 EUR
1時間30分コース(皇帝の部屋見学付き)11 EUR

*ブルックナー・オルガン演奏&ガイドツアーのセット券 11 EUR
**オルガン演奏もガイドツアーもなんで10月11日まで?と思ったがブルックナーの命日。 ***修道院の教会では演奏会も時々行われるのでここで演奏を聴きたい人は要チェック。今年は10月2日にゲルギエフ指揮/マリインスキー・オーケストラによるブルックナー交響曲第4番の演奏会がある。ブルックナー音楽祭(Bruckner Fest)の一環。

【おすすめパターン】
今回の私と同じ
13時 リンツ中央駅でバス(410番)。
13時30分 停留所到着。私のようにブルックナー交響曲の道に通じる階段の方から入りたい人はSt. Florian Gendarmerieplatzで下車。
13時30分から14時30分 散策、見学、チケット購入。
14時30分~14時55分 オルガン演奏
15時~16時 ガイドツアー
16時31分 修道院出てすぐのバス停からバス(410番)に乗りリンツ中央駅へ戻る

もしくは
11時30分 リンツ中央駅でバス(410番)。
12時 停留所到着。
13時から14時 ガイドツアー。
14時30分~14時55分 オルガン演奏
15時01分 修道院出てすぐのバス停からバス(410番)に乗りリンツ中央駅へ戻る(*オルガン演奏からバスまでの時間が厳しい。次のバスは16時01分)

【バスの時間】
〈リンツ中央駅からザンクト・フローリアン〉
...09:30/ 11:30/ 12:30/ 13:00/ 13:30/ 14:00/ 14:30/ 15:00/ 15:30/ 16:00...

〈修道院そばの停留所からリンツ中央駅〉
...11:01/ 12:01/ 12:29/ 13:31/ 14:01/ 14:31/ 15:01/ 16:01/ 16:31/ 17:31...

ザンクト・フローリアン修道院のサイト
http://www.stift-st-florian.at/

【前半】の記事(写真はモーツァルトハウス)

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