フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

シュターツカペレ・ドレスデン/チョン・ミョンフン指揮 第2回交響曲演奏会GP ゼンパーオーパー 2015年9月26日

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2. Symphoniekonzert
Staatskapelle Dresden
Myung-Whun Chung

Gustav Mahler
Symphonie Nr. 6 a-Moll »Tragische«

シュターツカペレ・ドレスデン 第2回交響曲演奏会
チョン・ミョンフン(首席客演指揮者)

グスタフ・マーラー 交響曲第6番イ短調「悲劇的」

ゼンパーオーパー
GP(ゲネプロ)10:00-

座席 1階右12列36番(1階10列目以降自由)


 今日はゼンパーオーパーでシュターツカペレ・ドレスデンのGP。おとといはバレエ、昨日は『さまよえるオランダ人』を観た。ゼンパーオーパーの歴史と、おとといのバレエと、昨日の『オランダ人』についてはこちら。

 今日のGPは、翌日から3回ある今シーズンの第2回交響曲演奏会(Symphoniekonzert)に向けたGP。翌日のチケットは売り切れている。プログラムはマーラー交響曲第6番、指揮はチョン・ミョンフン。友人にドレスデンに来てバレエとオペラを観て帰る予定を伝えると、翌日にGPがあるからそれ聴いて帰れば?と言ってくれて入れてもらうことに。このGPを聴いて午後にはウィーンに帰る。GPはこれまでも新国などで観たことはあったが、それでもそんなに回数は多くない*1。GPに入れてもらうのは音楽ファンとしてはある意味本番の公演よりも興味深く、楽しみがひとつ増えた。バレエとオペラを観て帰るつもりだったところ、しっかり交響曲も聴くことができて感謝。
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*1 これまで観たGPは、ソウル・フィル(オペラシティ)、小澤塾(小澤指揮)『カルメン』(神奈川県民ホール)、ツィンマーマン作曲『軍人たち』(新国、日本初演)、大野和士指揮/ステファン・グールド/イレーネ・テオリン/ツィトコーワ『トリスタンとイゾルデ』(新国)、ベルリン・フィル/ラトル(サントリー)、香月修作曲『夜叉ヶ池』(新国、世界初演)。


 劇場に向かうとき、右手に傘を差し、左手でカバンをぶら下げて今まさに道を渡ろうとしているチョン・ミョンフン氏を発見。なにかお疲れの様子。なかなか渡る気配がない。先に目前に迫った劇場広場まで行き写真を。

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雨に濡れる朝のゼンパーオーパー。この背後からチョン・ミョンフン氏がゆっくり歩いてきている。

 上の写真を撮って入り口付近まで来たところで振り返るとチョン・ミョンフン氏が劇場広場中央のヨハン像を通り過ぎようかというところまで来ている。今は9時50分。相変わらずとてつもなくゆっくり歩いている。あの、GP10時に始まるんですよね、行く気あるんすか(笑)と言いたくなるところ、昨日『オランダ人』を一緒に観た音楽家と劇場入口へ。

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 席は1階が解放され、10列目以降ならどこに座っても良い。自由。私たち以外には、同じようにオケに友人がいてきている人のほか、招待された学校の子供たちも少し来ていた。
 オペラハウスで交響曲を聴くのはとても良い。オーケストラピットに覆いをかぶせてその上でオケが演奏するから距離が近くなり、音も近くに感じることができる。シュターツカペレ・ベルリン/バレンボイムがシューマン生誕200年のときに記念演奏会でシューマンの交響曲第1番、チェロ協奏曲、第4番を同じように劇場で演奏したのを聴いたことがある。臨場感があって良い。今日はさらにGPということで客席に人がほとんどいない。満席時に比べると残響にも違いが出る。そうしたものも含めて同じ場所でも本番とは違った雰囲気になるGPで聴くのは面白い。
 チョン・ミョンフンが出てくるとさっとチューニングをしてすぐに第1楽章を始める。GPの時間は10時から13時まで確保されているらしいが、練習は今日までにすでに計4回しているとのことで(そして指揮者が先ほどのあの様子なので)だいたい通してすぐ終わるであろうという予想。第4楽章では巨大なハンマーが3回打たれた。ハンマーも大きいし、台もとても大きく迫力満点。コンマスは気になるところがあると積極的に指揮者に話しかける。GP全体で止めてやりなおしたのは3回ほど。確認してやり直した個所は一瞬にして見違えるほどに響きが良くなり、音楽がぐっとこちらに迫ってくる。チョン・ミョンフンは基本的にオケに任せるタイプなのがGPの様子から良く伝わってきた。その中に確固たる自信があるのも伝わってきた。また、オケと指揮者の間に信頼感があるのが見て取れた。これはいろんなところから呼ばれるよな、という印象。結局GPは11時30分頃に終わった。
 マーラーの第6番はこれまで聴いたことがなかったが、思いがけずドレスデンで聴くことができた。この演奏でぐっと身近になった気がする。それと私は、チャンスはいくらでもあったと思うが、チョン・ミョンフンが指揮する演奏会にこれまで行ったことがない。今後機会があれば積極的に聴きに行きたい。

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