フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ウィーン・フィル/エッシェンバッハ指揮&ピアノ ウィーン楽友協会 2015年9月29日

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Wiener Philharmoniker
Christoph Eschenbach, Dirigent und Klavier

Wolfgang Amadeus Mozart
Konzert für Klavier und Orchester A-Dur, KV 488
-------- Pause ----------
Peter Iljitsch Tschaikowskij
Serenade für Streichorchester C-Dur, op. 48
Sergej Prokofjew
Symphonie Nr. 1 D-Dur, op. 25, „Symphonie classique“

19:30


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座席 立ち見

 エッシェンバッハ、指揮もピアノも聴くのは初めて。割と来日しているっぽいので聴いたことのある人はけっこう多いだろうか。

 モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調。それぞれの作曲家に外せないジャンルがあるとして、ベートーヴェンが交響曲なら、モーツァルトはオペラとピアノ協奏曲。第20番以降の作品の中でも、第23番イ長調は傑出した第3楽章の存在によって格別の輝きを放っている。
 今日のウィーン・フィルはけっこう気合いが入った演奏をしていた。コンバスが3人でほんのたまに低音が全体のバランスからはみ出ることがあった。エッシェンバッハの弾き振り。ピアノはうーん...。第3楽章が素晴らしすぎるので普段はそちらばかりに注目しがちだが、第1楽章、第2楽章の素晴らしさも今日の演奏は伝えてくれた。第3楽章はもう音楽が素晴らしすぎて。それをこの水準で聴けている幸せを感じながら聴いていた。

 チャイコフスキーの弦楽セレナーデは今日のハイライト。ただ正直エッシェンバッハの指揮は、棒のおかげで合うのと棒のせいでずれるのと、半々くらいで、うーん。といってもオケに力量があるので、一瞬、ん、となってもその一瞬でとどまるし、同じ/似た個所に来ても同じ轍は踏まない。途中、指揮者なしで弾かせたらどうなんだろうと思ったりも。
 響きに惚れ惚れ。ウィーン・フィルの弦楽の美しさ。楽友協会ホールの音響。皆が期待しているのはまさにこれ。圧巻。
 最後の音の響きを感じ余韻を味わう。とても良い演奏会であった...。あれ、オケも聴衆もみんな座ったまま。あ、そうだそうだ。今日は少し変則で、前半1曲後半2曲だった。まだプロコフィエフがあるのね。弦楽セレナーデの美しい、あまりに美しい響きの余韻を壊さないよう、プロコフィエフを聴かないで帰ろうかとも思ったが一応聴いた。


 なるほど、これを書きながら知ったが、ウィーン・フィルは10月エッシェンバッハと来日するのか。その2日目の公演プログラムが今日の公演とまったく同じ。ウィーン・フィルによるチャイコフスキー弦楽セレナードの響きはきっと代えがたい体験に。モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調もこの水準で聴く機会はなかなか無いと思う。

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