フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

イル・ジャルディーノ・アルモニコ/アントニーニ/アスプロモンテ 「ハイドン2032」 ウィーン楽友協会ブラームス・ホール 2015年11月17日

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Il Giardino Armonico
Giovanni Antonini, Dirigent
Francesca Aspromonte, Sopran

Joseph Haydn
L’isola disabitata. Ouvertüre, Hob. XXVIII:9
Symphonie D-Dur, Hob. I:42
Solo e pensoso. Arie, Hob. XXIVb:20
-------- Pause ----------
Joseph Haydn
Symphonie D-Dur, Hob. I:4
Wolfgang Amadeus Mozart
Vado, ma dove? - oh Dei!. Arie, KV 583
Joseph Haydn
Symphonie A-Dur, Hob. I:64, „Tempora mutantur”


座席 Balkon左34番

 ジョヴァンニ・アントニーニ/イル・ジャルディーノ・アルモニコはソプラノ歌手ダニエル・デ・ニースとの(ほぼ)オールヘンデルプログラムをベルリン・コンツェルトハウスで聴いて以来で今日が2回目。そのベルリンでの演奏会はとても素晴らしく、地鳴りがするかのように聴衆が盛り上がり。その演奏会の光景、感動はいまでもよく覚えている。

 アントニーニとイル・ジャルディーノ・アルモニコは現在「ハイドン2032」を推進中。ハイドン生誕300周年を迎える2032年までにハイドンのすべての交響曲を演奏し、録音していくというプロジェクトで、CDは2014年11月に第1弾、2015年5月に第2弾が発売された。今日の演奏会で演奏されるのは第3弾として録音するプログラム(のはず)。

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第1弾 ハイドン:交響曲第1番、第39番、第49番『受難』、他


第2弾 ハイドン:交響曲第22番『哲学者』、第46番、第47番、他



 ハイドン『無人島』序曲(1779)、交響曲第4番ニ長調(遅くとも1762)、第42番ニ長調(1771)、第64番イ長調「時の移ろい」(1772)、そしてハイドンとモーツァルトの演奏会アリアを前後半に1曲ずつ、ハイドンの『ひとり物思いに沈み』(1798)とモーツァルト『私は行く、でもどこへ』(1789)。舞台上の弦は左右にVn1とVn2が立奏で4人ずつ、Vn1の隣にVa2人、チェロ2人、右後ろにCb2人。演奏する喜びを感じながら演奏しているようなイル・ジャルディーノ・アルモニコ/アントニーニの自由闊達な演奏はいつもわくわくさせてくれる。

 前後半に演奏会アリアを1曲ずつ歌ったフランチェスカ・アスプロモンテ(Francesca Aspromonte)はイタリア出身のまだ若いソプラノ。ポテンシャルはありそうだが、現時点では技術的に不安定さがかなり目立つ。

 今日の演奏会面白く聴いたは聴いたが、正直言うと、先週のベルリン・フィル/ラトルのベートーヴェン交響曲ツィクルス全5日公演を聴き通してきて中2日で、いくら好きな演奏団体とはいえ、今日のこの曲目ではやや退屈さを感じずにはいられなかった。今日の演奏会は良くも悪くも「プロジェクト」の一環。プロジェクト色が強く、その一部を垣間見ているだけなので、興味・関心の対象としては面白いが、ひとつ演奏会として感動の度合いから見ると...(普段の多くの演奏会がたいていは2曲、3曲のプログラムで聴衆が飽きないようにいかにバランスを取っているかということ考えつつ)。それでもイル・ジャルディーノ・アルモニコ/アントニーニを楽友協会のブラームス・ホールで聴くのはなんとも贅沢だし、現在進行中のプロジェクトの演奏会を聴けるのは嬉しい。プロジェクトでなければなかなかこのようなプログラムは聴けないし、今後プロジェクトが進み、80番台以降の交響曲が出てきたらどうなるのかも楽しみだ。

 イル・ジャルディーノ・アルモニコ/アントニーニは11月19日から23日までベルリンのスタジオで録音するようだ。第3弾として近いうちに発売されるだろう。ウィーンには2016年3月にまた来る。次は交響曲第3番ト長調、60番ハ長調、65番イ長調。「ハイドン2032」CD第4弾となるものだろう。

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