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フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

【アーノンクール引退発表】コンツェントゥス・ムジクス/シェーンベルク合唱団/エルヴィン・オルトナー バッハ ウィーン楽友協会 2015年12月6日

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プログラムとそこに挟まれていたアーノンクール直筆の手紙のコピー

Concentus Musicus Wien
Arnold Schoenberg Chor
Erwin Ortner
Cornelia Horak
Elisabeth Kulman
Werner Güra
Florian Boesch

Johann Sebastian Bach
Ouvertüre (Suite) Nr. 4 D-Dur, BWV 1069
Unser Mund sei voll Lachens, BWV 110
-- Pause --
Lass, Fürstin, lass noch einen Strahl, BWV 198


座席 1階左サイド 9ロージェ2列2番

アーノンクール引退発表

 すでに今シーズン一つ目の演奏会、10月のベートーヴェン交響曲第7番&8番がアーノンクール体調不良で演奏会自体キャンセルとなり4月に延期になっていた。それから今日の演奏会を楽しみにしていたのだが、11月末に楽友協会からアーノンクール体調不良のためキャンセルで指揮者変更のメールが届く。そのメールを受け取ったとき、すでにかなりショックだった。2回連続で、しかもどちらも直前ではなくかなり前々からのキャンセルで、さすがに「アーノンクール大丈夫か?」と思っていた。最悪の事態も考えなくもなかった。そして現在コンツェントゥス・ムジクスと進めているベートーヴェン交響曲演奏会&録音もこの前の第4番&5番で終わってしまうのではないか、と。そこに昨日の引退の報(今日の演奏会は2日目なので、昨日の初日に合わせての発表ということだろう)。昨日、DKB/ヤルヴィの演奏会後にアーノンクール引退を知り、その演奏会の印象も吹っ飛ぶほどの衝撃だった。状況的にはほとんど納得しているがそれでもやはり衝撃。ベートーヴェンのツィクルスは何らかの形で行うとのこと。

 昨日の引退発表から一夜明けた今日はアーノンクール86歳の誕生日だ。会場についてプログラムを買い席に。プログラムには昨日の引退の報のなかでも公表されていたアーノンクール直筆の手紙のコピーが挟まれていた。
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Liebes Publikum,
meine körperlichen Kräfte gebieten eine Absage meiner weiteren Pläne. Da kommen große Gedanken hoch: zwischen uns am Podium und Ihnen im Saal hat sich eine ungewöhnliche tiefe Beziehung aufgebaut - wir sind eine glückliche Entdeckergemeinschaft geworden! Da wird wohl Vieles bleiben. Der diesjährige Zyklus wird noch im meinem Sinne geführt, bleiben Sie ihm treu!

Ihr Nikolaus Harnoncourt

(日本語訳)
親愛なる聴衆の皆さん、
 体力の限界のため、今後の計画を取りやめなければならなくなりました。そして今、大きな思いが湧き起こってきています。それは、舞台上の私たちと会場の皆さんとの間に非常に深い関係が築き上げられていった、という思いです。私たちは幸せな発見共同体となったのです!そこにはきっと多くが残り続けるでしょう。今年のツィクルスは私の意向通りに行われますので、変わらずお見守りください!

あなたのニコラウス・アーノンクール

(訳は私による)

 今日の指揮は、アーノルト・シェーンベルク合唱団の創設者、エルヴィン・オルトナーが引き継いだ。会場はアーノンクール引退発表記念演奏会といった雰囲気で、聴衆は落ち着いてじっくり聴き入っていた、コンツェントゥス・ムジクスの響きの中にアーノンクールの精神を聴き取るように。

 今思うと、アーノンクール引退前にウィーンに来ることができたのは幸運だった。昨シーズンに彼が指揮する素晴らしい演奏会(コンツェントゥス・ムジクス4回、ウィーン・フィル1回)に行くことが来た。

特に素晴らしかったヘンデルのオラトリオ『サウル』の演奏会は自分の鑑賞史全体でも上位、CD発売されるベートーヴェン第4番&5番の演奏会も衝撃を与えてくれた。


【アーノンクールの著作】
 アーノンクール/コンツェントゥス・ムジクスによるベートーヴェン交響曲第4番&5番の演奏会がきっかけでアーノンクールの本を一冊買った。アーノンクール『音の話法としての音楽―新しい音楽理解への道』(Nikolaus Harnoncourt: Musik als Klangrede. Wege zu einem neuen Musikverstäntnis)(邦訳『古楽とは何か―言語としての音楽』)だ。引退発表の手紙の中で自然と「"発見"共同体」という言葉を使ったアーノンクールの信条を彼の最初の論考に読み取ることができる。


【アーノンクール/コンツェントゥス・ムジクスのCD:ベートーヴェン交響曲第4番&5番】
 2015年5月に楽友協会で行われたベートーヴェン交響曲第4番&5番の演奏会はコンツェントゥス・ムジクスとのベートーヴェン交響曲全曲録音企画の一環だった。CDは11月の予定だった発売が2月に延期になっている
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Beethoven: Symphonies Nos. 4 & 5

Beethoven: Symphonies Nos. 4 & 5


HMV(解説が豊富)
アーノンクール/コンツェントゥス・ムジクス:ベートーヴェン交響曲第4番&5番

Tower Records

上記のCDとなっている2015年5月楽友協会での演奏会についての記事↓

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