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フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

メンデルスゾーン『エリア』 フランス国立管/楽友協会合唱団/ダニエレ・ガッティ 楽友協会 2016年2月14日

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Felix Mendelssohn Bartholdy
"Elias"
, Oratorium in zwei Teilen nach Worten des Alten Testaments, op. 70

Orchestre National de France
Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien

Daniele Gatti, Dirigent
Genia Kühmeier, Sopran
Clementine Margaine, Alt
Rainer Trost, Tenor
Peter Mattei, Bass

Kareen Durand, Sopran I
Barbara Vignudelli, Sopran II
Laure Dugué, Alt I
Tatiana Martynova, Alt II

Ein Wiener Sängerknabe

Cb6/8/10...

座席 Balkon-Loge左 3, 2列6番

 ずっと聴きたいと思っていたメンデルスゾーンの『エリア』。ついに聴くことができた。本当に素晴らしかった。

 ここのところ楽友協会のスケジュールはあまりチェックしていなかったのだが2月に入り演奏会カレンダーを眺めていたらフランス国立管とダニエレ・ガッティによる演奏会を見つけた。このオケは聴いたことがなかったので聴いてみようかと他の日程も探したら今日と明日もあり、これはプログラムが違うようだ。クリックすると曲目は『エリア』...なんと!!即購入。

 この曲を知ったのは、たしか高校生のときか、テレビでN響の過去の演奏会が放送されたのを視聴して。その演奏会は『エリア』をヴォルフガング・サヴァリッシュが指揮した有名なN響第1000回定期演奏会(歌手陣にはルチア・ポップやペーター・ザイフェルトも)。どういうわけかそのときちゃんとビデオテープに録画していた。のちにサヴァリッシュ/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管のCDで聴き、だいぶ経ってからはヘレヴェーヘ/シャンゼリゼ管のCDでよく聴いていた。

 席に座りプログラムを読んでいたら面白いものが。1847年11月ウィーンでの『エリア』演奏会の告知。
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(Aus dem Programmheft für heute)

 前年8月にバーミンガムで初演され、1847年8月にケルンでドイツ初演、その後の11月の演奏会。「合唱団とオーケストラ合わせて1000人を超える参加者("unter Mitwirkung von mehr als 1000 Sängern und Instrumentalisten")」による「大音楽祭("Großes Musikfest")」、1847年11月14日と18日。「プロイセン王国総音楽監督フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ博士により("von dem königl. preusßischen General-Musikdirector Dr. Felix Mendelssohn-Bartholdy")」作曲された『エリア』が「本人の指揮のもと("unter dessen persönlichen Leitung")」演奏される。演奏会数日前の1847年11月8日にウィーンに到着する予定だったメンデルスゾーン。しかし、まさにその日に届いたのは彼の訃報だった。この演奏会の指揮をするはずだったメンデルスゾーンは1847年11月4日にライプツィヒで息を引き取った。演奏会を企画し彼を待ち望んでいたウィーンは喪失感に包まれていたと言う。(プログラム冊子(Joachim Reiberによる)解説参照)

 今日の演奏会、オケもソリスト4人も合唱団も素晴らしかった。エリアを歌ったスウェーデン出身のバリトン、ペーター・マッテイが威厳と声量があり発音も良く特に良かった。他にはソプラノのゲニア・キューマイアー。アーノンクール/コンツェントゥス・ムジクスの演奏会で何度か聴いたが、今日は調子が良かったのか一層良い歌唱だったように聴こえた。テノールはミヒャエル・シャーデと告知されていたのだが体調不良のため急遽ライナー・トローストが代わって歌った。アルトはフランス出身のクレマンティーヌ・マルゲーヌ。

 アマチュアである楽友協会合唱団は約100名の編成で熱唱。大きな拍手とブラーヴォが送られた。第一部第13曲、バアルの預言者たちがバアルに返事を求める場面の合唱の大迫力と休止の静けさとの強烈なコントラスト、第一部終曲で乾いた大地を潤した神への賛美が高らかに情熱的に歌われる場面の盛り上がりに胸が高鳴る。楽友協会ホールに響き渡る合唱団の声とともに天に昇るかの思いがした。素晴らしい歌唱だった。

 そうそう、忘れてはいけないのが少年の独唱。ウィーン少年合唱団員の少年が一人舞台上のオルガンの前のところに立ち、第一部終曲の前のエリアとのやりとりを聴衆に温かく見守られながら歌った。とても神秘的な部分で、ボーイソプラノだと一層その神秘さが増す。これを聴いてしまうとソプラノではやや物足りなく聴こえてしまう。

 ついに聴くことができた『エリア』。来る前まではここまでの名演になるとは思っていなかった。心のどこかでたかをくくっており大変申し訳ありませんでした。

 メンデルスゾーンのまごうことなき最高傑作と信じているが、残念ながら機会に恵まれない。それを今日のような素晴らしい演奏でしかも楽友協会で聴くことができるとは。今日は念願がひとつ叶った。

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休憩中

 鑑賞履歴表をつけて気づいたが、この演奏会がウィーンに来てからすべてひっくるめて鑑賞100公演目(No.264~363、「鑑賞履歴表2」)。

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*言及したCDについて

・メンデルスゾーン:オラトリオ『エリヤ』op.70
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団/ライプツィヒ放送合唱団/ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
、エリー・アーメリング、レナーテ・クラーマー、アンネリース・ブルマイスター、ギゼラ・シュレーター、ペーター・シュライヤー、ハンス=ヨアヒム・ロッチュ、テオ・アダム、ヘルマン=クリスティアン・ポルスター


・メンデルスゾーン:オラトリオ『エリヤ』 Op.70
コレギウム・ヴォカーレ/シャペル・ロワイヤル/シャンゼリゼ管弦楽団/フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)
、ペッテリ・サロマー(バス:エリヤ)、ソイレ・イソコスキ(ソプラノ:未亡人、天使)、モニカ・グロープ(アルト:女王、天使)、デルフィーネ・コロット(ソプラノ:少年)、ジョン・マーク・エインズリー(テノール:アハブ)



*ウィーンで聴いたオラトリオ

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