フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

リンツ・ブルックナー・オーケストラ/デニス・ラッセル・デイヴィス 楽友協会 2016年2月20日

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Bruckner Orchester Linz
Dennis Russell Davies
, Dirigent
Brit-Tone Müllertz, Sopran

Christoph Willibald Gluck
Ouvertüre zur Oper „Iphigenie in Aulis”; Fassung von Richard Wagner

Ludwig van Beethoven
Ouvertüre "König Stephan" op. 117
Richard Strauss
Vier letzte Lieder für Sopran und Orchester, WoO, AV 150
-------- Pause ----------
Anton Bruckner
Symphonie Nr. 6 A-Dur


Vn14、後半16

座席 Balkon-Loge右7番2列5番

 (写真は別の日。いつもプログラム冊子の表紙が無地に文字がちょこっとだけで。しかもこういう時に限って写真を撮らなかった。もっと暗いし今日は夕方から曇り、終演後は小雨...)

 たまに来るリンツ・ブルックナー・オーケストラ。リンツのあの素晴らしい劇場のピットにも入るこのオケ。一度は聴いておこうと思い聴いて来た。プログラムにはしっかりブルックナーの交響曲。今日は第6番。うん、地味だ。個人的にこの曲は3回目。ベルリンでベルリン・フィル/ブロムシュテット、シュターツカペレ・ベルリン/バレンボイムの演奏で聴いたことがある。そう言えば東京ではシュターツカペレ・ベルリン/バレンボイムによるブルックナー・ツィクルスが終わったところか?と思いつつ。

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リンツ・ブルックナー・オーケストラの本拠地、ブルックナーハウス


 1曲目はグルックのはずだったけど行ったら変わっていた、ベートーヴェンの『シュテファン王』序曲に。まあいいか、どっちでも。ベートーヴェンの序曲集のCDでもかけてる時に耳にはしているはずだが、どんなんだったっけ、曲が始まって、あ、そうそうって感じ。初演は1812年2月9日。

 R. シュトラウス「最後の4つの歌」。初演は1950年5月22日ロンドン、フィルハーモニア・オーケストラ/指揮フルトヴェングラー、キルステン・フラグスタートによる。今日歌うのはデンマーク出身のソプラノ、ミュラーツ。声は良い。発音が少し聴こえにくかったが。オケも丁寧。短い前半を聴いて、良いオケだな、という印象。ここまでは良かった。休憩してブルックナーの6番を待つ。

 後半のブルックナー交響曲第6番。休憩中に簡素なプログラム冊子を広げる。1879年9月24日に作曲が始められ、1881年9月3日にザンクト・フローリアンで完成した。ブルックナーはこの曲を全部聴いたのはたった一度、オーケストラの練習においてだけだったと。1883年2月11日にここ楽友協会で行われたウィーン・フィル/ヴィルヘルム・ヤーン指揮の演奏会では第2、第3楽章しか演奏されなかった(ブルックナーは1896年10月11日に亡くなった)。全楽章初演は1899年2月26日にウィーン・フィル/マーラー指揮で、ただしかなり短縮されて。カット無しでは1901年3月14日にシュトゥットガルトでカール・ポーリヒの指揮で演奏された。初版は部分的にかなり誤りが多く、長いこと批判校訂版がなかったため、オリジナルの総譜にかかれたようにこの曲が鳴り響いたのはやっと1935年10月9日のことで、オランダ人指揮者パウル・ファン・ケンペン指揮でローベルト・ハースの版を使用して演奏された。

 演奏。弦が前半より1プルト増え、ホルン、トランペット、トロンボーンには1人ずつアシ。前半聴きやや期待も高まっていたところだったが...、きわめて残念な演奏で退屈してしまった。確かに「ブルックナー」・オーケストラと称するだけあって演奏し慣れている感じはするのだが、冒頭静かに始まってティンパニ等が加わり強奏となるところで驚き。ちょ、ちょっと...そんなただ鳴らせばいいってもんじゃないんじゃ...。それとフォルテにしろピアノにしろ音に引き締まった緊張感が足りない気がする。木管たちの聴かせどころも、無神経に大きい音で吹いているようで、そこそんなに大きな音で吹いていいのか、と首をかしげたくなる。付点のリズムもひっかかり過ぎでいちいちもたついてしまっている。第1楽章が終わった直後の会場の白け具合が尋常ではなかった。指揮者はデニス・ラッセル・デイヴィス。このオケならもっと良く演奏できると思うのだが。ブロムシュテットあたりにでもブルックナーを振ってもらうとはまる気がするが...。天井を眺めながらそのようなことを考えつつ終わるのを待っていた。


*リンツとザンクト・フローリアンについてはこちらを

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