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フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ヘンデル『オルランド』 アン・デア・ウィーン劇場 2016年2月24日

オペラ

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Orlando
Opera seria in drei Akten (1733)
Musik von Georg Friedrich Händel
Libretto anonym nach Carlo Sigismondo Capeces Libretto zu Domenico Scarlattis "Orlando, Overo la Gelosa Pazzia" (1711) nach Ludovico Ariostos Epos "Orlando Furioso" (1532)

Musikalische Leitung | Harry Bicket
Orlando | Iestyn Davies
Angelica | Erin Morley
Medoro | Sasha Cooke
Dorinda | Carolyn Sampson
Zoroastro | Kyle Ketelsen

Orchester | The English Concert


座席 立ち見右

 アン・デア・ウィーン劇場で演奏会形式によるヘンデル『オルランド』。1719年に完成、初演はロンドン、1733年1月27日(モーツァルト誕生日だ、生まれる23年前だけど)。全3幕。オルランド、アンジェリカ、メドロ、ドリンダ、ゾロアストロ、5人の登場人物だけで展開される。休憩は2回。3時間半(休憩を除いた上演時間は3時間弱)。6年前にベルリンのコーミッシェ・オーパーで観て以来2回目。

 オケはトレヴァー・ピノックが1972年に設立した古楽器団体、イングリッシュ・コンサート。指揮(&チェンバロ)は2007年から芸術監督を務めるイギリス出身のハリー・ビケット。古楽器団体にありがちなガシガシ感があまりなく、精緻なアンサンブルから洗練された響きを奏でる。フライブルク・バロックオーケストラやコンツェントゥス・ムジクスよりも上質にまとまっている感じ。落ち着いたビケットの指揮のもと、はつらつとした勢いの良さと冷静さを併せ持ちつつ演奏していく。編成は、Vn1. 5, Vn2. 4, Cembalo, Laute, Oboe 2 (Blockflöte), Fagott, Vc3, Va2, Cb. 一番左にホルン2(第1幕だけ)。

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Harry Bicket © Geraint Lewis


 注目されていたオルランド役のイギリス出身のカウンターテノール、イエスティン・デイヴィスほか、アメリカ出身のソプラノ、エリン・モーリー、アメリカ出身のメゾ・ソプラノ、サーシャ・クック(初演時、メドロはコントラアルトによって歌われた)、イギリス出身のソプラノ、キャロリン・サンプソン、アメリカ出身のバス=バリトン、カイル・ケテルセン。実力者でしっかり固められた配役。皆素晴らしい歌唱。デイヴィスのオルランドの素晴らしさ(デイヴィスは今月の前半に日本で公演があったようで)。他にも例えばアフリカの王子メドロを歌ったサーシャ・クックは声の質をしっかり役に合わせ深く芯のある声を響かせつつ、そうした役作りにとらわれて歌唱が窮屈になることなく歌ってくれた。

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Iestyn Davies © Marco Borggreve

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Erin Morley © Carlo Allemano

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Sasha Cooke © Dario Acosta

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Carolyn Sampson © Marco Borggreve

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Kyle Ketelsen © Dario Acosta


ヘンデルを高い水準で聴く喜び。今日は上記の通りオケから歌手まで英米出身で固められた配役だったのだが、その点も普段馴染みのない歌手を聴くことができたので良かった。

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休憩中。舞台セットは5日前にプレミエが行われ、この公演に前後して上演されるロッシーニの『オテロ』のもの。


 今日は字幕は付かない。プログラム冊子にイタリア語ドイツ語対訳が載っている。これはありがたい。原語を確認しつつ右のドイツ語で意味をとりながら聴く。いつも載せてほしいなぁ。この冊子は今後の個人的な鑑賞にも使える。

 本当に充実した上演で、よくぞこれほどの高い水準での上演を実現してくれたという気持ち。力の限り拍手、拍手、拍手、拍手。歌手たちにもオケにも聴衆から熱狂的な拍手喝采が送られた。

 今日の公演はツアーの初日で1回公演。この後、バーミンガム、ロンドン、アムステルダム、ニューヨークでの公演がある。

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Erin Morly, "Handel's Orlando with The English Concert 24 Feb Vienna [Theater an der Wien], 26 Feb Birmingham [Town Hall], 1 Mar London [Barbican Centre], 7 Mar Amsterdam [Het Concertgebouw], 13 Mar New York [Carnegie Hall]"
© Photo: Wesley Johnson/ Script: Pratt Papeterie


*作品について参考文献

・高際澄雄「ヘンデル『オルランド』の作品的特質」宇都宮大学国際学部研究論集 第40号(2015), 125-137頁→PDF
(これによればヘンデルの『オルランド』は日本でいまだ上演されたことがないとのこと...まじか。にしてもレネ・ジェイコブズって最初誰かと思ったけど。いくら英文学者でもそれは笑)

Handel: Orlando

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ヘンデル『オルランド』全曲 ルネ・ヤーコプス&ベルギー・バロック管、ベジュン・メータ、カルトホイザー、他(2013)(2CD)(HMV)

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