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フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

アルテミス四重奏団 ウィーン・コンツェルトハウス 2016年3月31日

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Artemis Quartett
Vineta Sareika, Violine
Anthea Kreston, Violine
Gregor Sigl, Viola
Eckart Runge, Violoncello

Hugo Wolf
Italienische Serenade G-Dur für Streichquartett (1887)
Leoš Janáček
Streichquartett Nr. 1 «Kreutzersonate» (1923)
***
Ludwig van Beethoven Streichquartett F-Dur op. 59/1 (1805-1806)

座席 2階正面4列6番

 今シーズンAboで買っている"Artemis & Belcea"の公演のひとつ。全5公演の4公演目。ベルチャの方は昨年内にすでに2公演終えている。アルテミスは昨年の初回はヴィオラ奏者のフリーデマン・ヴァイグレ氏がなくなって間もない頃だったので、長年共演してきたエリーザベト・レオンスカヤが急遽出演し追悼演奏会という形となった。新たなメンバーはどうなるのか。数か月後に新たなヴィオラ奏者、ではなく第2ヴァイオリン奏者が迎えられ、それまで第2ヴァイオリンを務めてきたグレゴール・ジーグルがヴィオラパートを引き継ぐことが発表された(10月の追悼演奏会の時もジーグルがヴィオラを弾いていた)。

 新たに迎えられた第2ヴァイオリン奏者アンシア・クレストンはシカゴ生まれ、カーティス音楽院で学び、室内楽をフェルメール四重奏団とエマーソン四重奏団のもとで学んだ。クレストンはかつて7年間アヴァロン四重奏団(Avalon quartet)のメンバーとして演奏し、アメリア・ピアノ三重奏団を立ち上げ演奏活動を行っていた。アルテミス四重奏団唯一のオリジナルのメンバーであるチェロのエッカート・ルンゲは、クレストン加入発表に際して話している。クレストンとは20年来の知り合いで、知り合ったのはジュリアード四重奏団のマスターコースに参加した時とのこと。それぞれアルテミス四重奏団、アヴァロン四重奏団のメンバーと共に参加していた。クレストンは空いたポジションに応募し、アメリカ西海岸から飛んできた。演奏を聴いたメンバーの3人はすぐに思ったという、彼女は彼女の仕方でフリーデマンの偉大な精神を持っていて私たちのカルテットを新たに豊かにしてくれるだろうと。

 クレストンは加入に際し述べている。「今後アルテミス四重奏団の一部となれることに心から嬉しく思っています。20年前のジュリアード四重奏団で[のマスターコースで]共に学んで以来私の好きな四重奏団でした。この素晴らしい人物、音楽家たちと人生を共にできることは、夢の実現です。この夢が現実のものになるとは思ってもいませんでした」。


 4人が登場すると大きな拍手。全員が位置についても鳴りやまない。4人はもう一度聴衆の方を向いて礼をする。さらに大きくなる拍手。聴衆はこの演奏会がどういう演奏会か知っている。コンツェルトハウスのモーツァルトホールにアルテミス四重奏団の演奏を聴きに来る聴衆たち。

 演奏は、まあ正直...って感じで、特にベートーヴェンはなかなかアンサンブルとしてはまらない、しっくりこないところが多かった*1。アンサンブルとしてはぱっとしなかったが、チェロの豊かな音量、表現の幅の広さが素晴らしかった。彼が音をしっかり響かせると2階の私の席も振動で震え、それが足に伝わってくる。700席ほどモーツァルトホール。コンツェルトハウスは大ホールはあまり気が進まないが、このモーツァルトハウスで室内楽を聴くのはいい。すっきりと気持ちよく聴ける。アンコールはグリークの弦楽四重奏曲よりロマンツェ。
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*1 曲自体についても考えさせられた。よく言われるような、ベートーヴェンは難しい、と言ってしまえば簡単なことだが、その難しいというのは何か「深い」意味で難しいではなく、単純に具体的に音にするのが難しい、つまり演奏しにくい難しいという意味で。フガートの部分でアンサンブルがぐにゃぐにゃになってしまうあたりなどを聴いてベートーヴェンが書いたことをしっかり音楽にするのが難しそうだなと感じながら聴いていた。

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