フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

書籍(音楽関連)

クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』(3)ワーグナーに会いたくない理由ともし会うことになってしまったら聞きたいこと

私はリヒャルト・ワーグナーに個人的には出会いたくないと思っています。クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』 (Christian Thielemann: Mein Leben mit Wagner, Beck, 2012) ティーレマンはワーグナーに個人的には出会いたくないらしい。こんな…

クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』(2)序文

私は音楽学者でも社会学者でも歴史家でもありません。私は音楽家です。しかし時々思うことがあります、ワーグナーに通じる鍵を見つけたと。クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』 (Christian Thielemann: Mein Leben mit Wagner, Beck, 2012) 序…

クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』(1)買ったきっかけとメモ

私の人生において何がまずはじめにあったのか、もはやわかりません。ワーグナーへの思いだったのか、指揮することへの思いだったのか。クリスティアン・ティーレマン『ワーグナーと私』 (Christian Thielemann: Mein Leben mit Wagner, Beck, 2012) 2012年…

アーノンクール『音の話法としての音楽―新しい音楽理解への道』(4)「私たち」の読みかえの試み―「私たち日本人の生活における西洋音楽」

そうして日本のクラシック音楽ファンの誰もが、西洋音楽の価値と演奏について判断し意見を述べることは正当でみずからにその資格があると感じてしまっているのです。 *以下の文章はアーノンクールが書いたものではありません。アーノンクール『音の話法とし…

アーノンクール『音の話法としての音楽―新しい音楽理解への道』(3)「私たちの生活における音楽」解題―「私たち」と私たち

そのような単に「美しい」だけの音楽など、かつて一度も存在したことはありませんでした。 そうして誰もが、音楽の価値と演奏について判断し意見を述べることは正当でみずからにその資格があると感じてしまっているのです。 私がきわめて深く確信しているこ…

アーノンクール『音の話法としての音楽―新しい音楽理解への道』(2)「私たちの生活における音楽」読解(抜粋)

そのような単に「美しい」だけの音楽など、かつて一度も存在したことはありませんでした。 そうして誰もが、音楽の価値と演奏について判断し意見を述べることは正当でみずからにその資格があると感じてしまっているのです。 「私たちの生活における音楽」 中…

アーノンクール『音の話法としての音楽―新しい音楽理解への道』(1)読解への導入

そのような単に「美しい」だけの音楽など、かつて一度も存在したことはありませんでした。 そうして誰もが、音楽の価値と演奏について判断し意見を述べることは正当でみずからにその資格があると感じてしまっているのです。 最初の版が刊行されたのは1982年…

音楽家の著作―アーノンクールとティーレマン

5月に音楽関連の本を2冊買った。音楽関連の本を買うのもかなり久しぶりだし、記事を書くのも久しぶり。かつてゲーテの音楽思想に関する本を買って少しずつ紹介しようと思って、何回か記事を書いたがそのうちやらなくなった。それ以来。さらに音楽家の本とな…

『ゲーテとベートーヴェン』 青木やよひ著

青木やよひ『ゲーテとベートーヴェン―巨匠たちの知られざる友情』(2004年、平凡社新書) 以前からこの2人の関係や出会いについて興味があってこの本の存在も知っていたが、今まで読まずにいたところ今日ひとまず読み通した。非常に興味深く楽しく読んだ。2…

Beethoven Briefe(1)

Ludwig van Beethoven Briefe, 1999, Diogenes. 『ベートーヴェンの手紙』 (日本の新書サイズ) ずーっと前からこの本について書こうと思っていましたが「ゲーテの音楽思想シリーズ」(?)の方をずっとやっていてなかなか書けず今やっと少しでも書いてみよ…

Mozart Briefe

今日いつだかにAmazonで注文していた"Mozart Briefe"(2006, 『モーツァルト書簡集』)が届きました。思っていたより装丁もちゃんとしてるし中身もしっかり詰まっている感じで良かったです。これで604円は安い!モーツァルトが書いた文章を翻訳ではなく彼の言…

Goehtes Gedanken über Musik(7)『魔笛』

Goehtes Gedanken über Musik, 1985, Insel Verlag. 『ゲーテの音楽思想』 今日は『ゲーテの音楽思想』から、モーツァルトの『魔笛』に関する部分を紹介します。ゲーテが『魔笛』の第2部の構想を持っていたことは知られていますが、実際にどのくらい真剣に考…

Goehtes Gedanken über Musik(6)『ドン・ジョヴァンニ』2

Goehtes Gedanken über Musik, 1985, Insel Verlag. 『ゲーテの音楽思想』 今日は『ゲーテの音楽思想』から『ドン・ジョヴァンニ』についてのゲーテの言葉を再び紹介します。ドン・ジョヴァンニ関連で紹介するのはこれで2回目です。 「同じようにぶしつけに…

Goehtes Gedanken über Musik(5)モーツァルト

Goehtes Gedanken über Musik, 1985, Insel Verlag. 『ゲーテの音楽思想』 前回に引き続きモーツァルトについてゲーテが述べた言葉を紹介します。 「芸術家を偉大で独特にするもの、それを芸術家は自らの中からだけ創造することができる。ラファエル、ミケラ…

Goehtes Gedanken über Musik(4)『ドン・ジョヴァンニ』について

Goehtes Gedanken über Musik, 1985, Insel Verlag. 『ゲーテの音楽思想』 前回の『後宮からの誘拐』に続いて今日は『ドン・ジョヴァンニ』について交わされたゲーテとシラーの手紙を紹介します(本文pp. 184-185)。 「古代のバッカスの祭りの合唱からのよ…

Goehtes Gedanken über Musik(3)『後宮からの誘拐』について

Goehtes Gedanken über Musik, 1985, Insel Verlag. 『ゲーテの音楽思想』 ゲーテがモーツァルトを高く評価していたことは有名ですが、今回は『後宮からの誘拐』(Die Entführung aus dem Serail)についてのゲーテの言葉を紹介します。 「最近モーツァルト作…

Goethes Gedanken über Musik(2)構成・目次紹介

Goehtes Gedanken über Musik, 1985, Insel Verlag. 『ゲーテの音楽思想』 なかなか紹介できていませんが今日は本書の構成(目次)について簡単に。1. 音楽についての個人的な経験(初期、イタリア紀行(1788)まで、ヴァイマールでの音楽体験、音楽の楽しみへ…

Goethes Gedanken über Musik 『ゲーテの音楽思想』

Goehtes Gedanken über Musik, 1985, Insel Verlag. 『ゲーテの音楽思想』 ベルリン・フィルハーモニーでいつだかの公演前に見つけて買った本。音楽についてのゲーテの見解が載ってるもの。作品、手紙、会話、日記からの編纂。上手く編集されていて読みやす…

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