フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

鈴木雅明指揮 フライブルク・バロックオーケストラ & コレギウム・ヴォカーレ・ゲント 2010年1月12日

2010年1月12日(火) Freiburger Barockorchester & Collegium Vocale Gent

場所:ベルリン・フィルハーモニー 室内楽ホール

指揮:鈴木雅明

Bach:カンタータ第198番「候妃よ、さらに一条の光を(„Lass, Fürstin! lass noch einen Strahl")」 BWV198

カンタータ第194番「こよなく望まれし、祝賀の宴よ(„Höchsterwünschtes Freudenfest")」 BWV194

座席 B左6列2番、後半D左5列5番あたり

 冒頭曲順入れ替わるというアナウンスがあり上記の順番に。舞台背後の席はやっぱり声が聞こえにくい。2007年にオペラシティで中嶋彰子の歌う『四つの最後の歌』を聴いたときたまたま彼女のもろサイドやや後方に座っていて何を言っているか発音が向こう正面に(当たり前のことだが)飛んで行きぼやけて、ただ音程しか聞こえないというのを経験して以来舞台の後方席(サントリーホールでいうP席にあたるようなところ)には座らなくなった。以前は面白がって座ることもあったが。いや、今日はB席なのになんで後ろなのだ、と思われるかもしれないが、ここのホールは本当に欠陥ホールであり(言いすぎかもしれないがそう思う)、ウェブサイトなどで座席表見てもらえればわかるがホール全体がほぼ均等な円形で正面側の座席が少ない。Bブロックは指揮者のラインから後方に向かって位置している。このホールのチケットを買うときは気をつけなければならない。座席の約半数が舞台背後っていうのはどうかと思う。音響的に劣悪な席ばかりということだ。そして舞台後方の座席が多いことで本来良い席であるはずの正面の席の音響にも悪影響が出ている。これは私の感覚・考えだが、大きく言えばこれはべルリン・フィルハーモニーの大ホールにもある程度同じことが言える。

 この施設はベルリンの中心にあり、またそのベルリンはヨーロッパの中心に位置し、各地から優れた団体、指揮者、演奏者が集まる。そのベルリン・フィルハーモニーの室内楽ホールがこんな設計であるのはとても残念だ。今日のフライブルク・バロックオーケストラやその他非常に優秀な室内楽の団体をこんなホールで聴かないといけないのだから(しかもこういった団体が演奏する楽曲ほど繊細な音響が望まれるというのに)。その後、曲目や演奏団体には興味があると感じつつもホールの音響を勘案して結局行くのやめたこともよくあった。

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(ベルリン・フィルハーモニー室内楽ホール。休憩中。舞台の両サイドにあるのがBブロック、舞台に近い後ろ側はCブロック。写真は後半に座ったDブロックから一緒に行った友人が撮影)

 鈴木雅明の指揮で聴くのは2008年3月にオペラシティでのバッハ・コレギウム・ジャパンの『マタイ受難曲』以来だった。その時ももちろん素晴らしかったが今日はフライブルク・バロックオーケストラとコレギウム・ヴォカーレ・ゲントを指揮してどんな演奏を聴かせてくれるかに興味があった。このオーケストラはこれまでCDでだけ聴いたことがあり、合唱団の方は2006年6月にヘレヴェーヘが率いて来た時に池袋芸術劇場でロ短調ミサを聴いたことがある(それは本当に良い演奏会だった)。期待どおり合唱は本当に素晴らしかった。オケも驚くほど生き生き。この3者の組み合わせは考えてみたら反則技みたいなものだな。これでバッハのカンタータ演奏か。バッハのカンタータ演奏に関して現在世界で考えうる最高の組み合わせの一つではないか?他にも匹敵する組み合わせはあるかもしれないがこれを超えるというものはなかなか想像できない。強いて言えばオーケストラか。パッと思いつくのはベルリン古楽アカデミーあたりだがどうだろう。

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