フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ワーグナー『リエンツィ』 ドイチェ・オーパー 2010年2月10日

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2010年2月10日(水)Rienzi  Deutsche Oper Berlin
Große tragische Oper in fünf Akten
Dichtung von Richard Wagner nach dem Roman Rienzi, or The Last of the Tribunes von Edward George Bulwer-Lytton
Uraufführung am 20. Oktober 1842 in Dresden
Premiere an der Deutschen Oper Berlin am 24. Januar 2010
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Musikalische Leitung: Sebastian Lang-Lessing
Inszenierung: Philipp Stölz
Co-Regie: Mara Kurotschka
Bühne: Ulrike Siegrist, Philipp Stölz
Kostüme: Kathi Maurer / Ursula Kudrna
Video: FettFilm (Momme Hinrichs und Torge Møller)
Chöre: William Spaulding
Dramaturgie: Katharina John
Künstlerische Produktionsleitung: Christian Baier
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Rienzi: Torsten Kerl
Irene: Camilla Nylund
Steffano Colonna: Ante Jerkunica
Adriano: Kate Aldrich
Paolo Orsini: Krzysztof Szumanski
Kardinal Orvieto: Lenus Carlson
Baroncelli: Clemens Bieber
Cecco del Vecchio: Stephen Bronk
Chor der Deutschen Oper Berlin
Orchester der Deutschen Oper Berlin 

 チケット買えた!なんと最後の1枚。右側のLogeだった。やっぱり若干自分の側の舞台が少し切れるけど、二階からの視点であの近さはなかなか無いというくらい近く感じる。今日の公演は録画されていた。1階席真ん中数席分とってカメラ3台。他いろいろそれらしきもの。今日のオケは基本的には良かった。ティンパニはだめだな。それにしてもあのくるみ割り・白鳥、タンホイザーの時の下手さはなんだったのか。未だに信じられない。

 今日は一言で言うなら演出が…。パンフレットのあの美しい写真はなんだったんだ。あの方向でやってくれよ。どこの全体主義国家だよ(北○鮮)。リエンツィを表すRの文字が至る所に。まず、舞台が美しくない。無駄な動きが多い。無駄なものが多い。舞台背景には常にビデオが映し出されているし。後半舞台上下に分割。下は地下室。Untergangのつもりかあれは。模型で新しい都市の構想に耽っている。ベルリン陥落前のヒトラーか。

兄と妹のあの関係の描き方も疑問。最後イレーナがアドリアーノをいやっ、て感じで振り払うのも変だ。幕切れはいかにも悲劇。

 観てわかった、なぜリエンツィがあまり上演されないか、バイロイトでさえ上演演目になっていないかが。まず長いからだけれども、カットすればいいと。でもカットした時に、なんでリエンツィがいきなり民衆たちから本当にまさに180度反対に非難されるのかがわかりづらくておかしくなる。内容知ってるからいいということにはならないが、観てるその場での違和感はあるからだ。

 そこでこの演出のだめなところ。上の問題のためこの演出家は、劇の初めから、全体の構想としてリエンツィを全体主義国家の元首に見立てることで、歴史がそう教えるように、没落するものとして印象付けて、カットによる穴を埋める。だが大きな間違いである。なぜなら、そうするとリエンツィはただの悪者になり下がり、悪者が最後にただ死んでも悲劇でもなんでもなくなってしまうからである。劇全体の構想がおかしくなってしまう。私は幕切れでも感動しなかった、というよりも、なにをどう感動するのかわからない状態である。妹でさえただ盲目的についてゆく悪妻(そこまでではないけども)のようだ。だから最後に血を流そうが死のうが別に湧いてくるものがない。リゴレットを見よ。

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 音楽は良いと思う(こういう評価はおかしいと思うが)。まだワーグナー全開じゃなくても。冒頭から随所にイタリアオペラ風なものが聴かれ、それまでの作曲家の作品を研究してきた感じが現れている。

 今日は録画されているということでさくら数人からブラヴォがあった。でも全体としては反応が弱かったと思う。曲中の拍手はなかなかないくらい弱かったし、最後も、んーって感じが劇場に残っていた。でもリエンツィ観れたこと自体は嬉しい。あとは指環後半二つ、パルツィファル、か。

 

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(雑誌やポスターに載っていたイメージ写真。こんな雰囲気を想定し、期待していたが…)

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