フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

ドニゼッティ 『ランメルモールのルチア』 2010年3月24日 ドイチェ・オーパー・ベルリン

2010年3月24日(水)Lucia di Lammermoor
Deutsche Oper Berlin
Lucia: Eglise Gutiérrez (エリーゼ・グティエレス←ディアーナ・ダムラウキャンセルのため)
Edgardo: Robert Alagna(ロベルト・アラーニャ)
Dirigent: Stefano Ranzani(ステファーノ・ランザーニ)

 

 1時間半前に並びに行ったけどもう短くはない列が。Diana Damrauキャンセルにもかかわらず列が。目の前の人が先週観たけど代役も素晴らしかった等々いろいろ話してくれたので期待が高まる。実はその人自身がテノール歌手とのこと。今度やる演奏会によければ招待するからメールアドレス書いてくれればメール送るよと言ってくれたのでお願いした。チケットとれるか不安だったけど払い戻しが多くあったみたいで思いのほか簡単に、しかもロージェAの1列目。これは確実にキャンセルされた席だろと思いつつ来てよかったぁと。本当に近く感じる良い席。しかも新国にはない座席位置、視界。新鮮。

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(Die Partie der Lucia di Lammermoor singt heute Eglise Gutiérrez. 期待していたディアーナ・ダムラウは急遽キャンセル。痛恨だが、今思うと代役になってキャンセルの席が出なかったら観ることができなかったかもしれない)


 今日のドイチェ・オーパーのオーケストラは良かった。最初からこのレベルでやってくれてたらそんなに下手だと思わなかったのに。指揮者も良かったように思う。ルチア役のグティエレスは最初、相手がロベルト・アラーニャというのもあってか、若干声量が足りないようにも思えたがそれでも良かったと思う。今日はそれよりもやっぱりアラーニャだった。半端ないなあれは。登場して声を発した瞬間、次元の違い。発声も発音もはっきりしてて良く通る。素晴らしかった。いつ終わるとも知れないスタンディングオベーション。そりゃそうなるな。

 作品はもう歌手を聴くためのようなもの。物語はあってないようなもの。観てて物語があることをほとんど感じない。良く言えば歌手の歌声を楽しめる、悪く言えば歌手の技巧に偏りすぎている。良く思うけどいろいろ観れば観るほどにモーツァルトのオペラの凄さがわかる。たしかにフィガロなんかだと少し長くて物語が前に出てきてて集中しないといけなくて疲れるってのはあるけど。「狂乱の場」も良かった。あそこは聴いてる方も緊張する。

 演出は久々にこういう古風な感じのままで観たってくらい余計なことはしないものだった。いいね落ち着いて観られるから。まあそもそもこんな物語で読み込みも何も、あるだろうけど、ないものね。とにかく席も歌手も良くて今日は本当に来てよかった。

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