フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』 ベルリン国立歌劇場 バレンボイム指揮&ロランド・ビリャソン 2010年6月5日

2010年6月5日 Staatsoper für Alle „Eugen Onegin“
Barenboim
Inszenierung, Achim Freyer

Larina, Katharina Kammerloher
Tatjana, Anna Sammuil
Olga Maria, Gortsevskaya
Filipiewna, Margarita Nekrasova
Eugen Onegin, Artur Rucinski
Lenski, Roland Villazón
Fürst Gremin, René Pape
Triquet, Stephan Rügamer
Saretzki, James Homman
Ein Hauptmann, Rosen Krastev

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4階左3列10番

 今日の公演はStaatsoper für Alleといって毎年(1、2回?)行われている企画で、劇場の公演をライブで真隣の(そしてウンター・デン・リンデンを挟んでフンボルト大学の真向かいの)ベーベル広場の巨大スクリーンで中継される。その広場で聴くのは誰でも無料。ウンター・デン・リンデンもその付近は車両通行止めになる。地面にそのまま座ったり椅子持参の人もいたり、ビール片手でもなんでもみんな好きに観賞できる。去年の夏は『トリスタンとイゾルデ』、二日目がチャイコフスキー交響曲第5番。その時は両方ともその広場で聴いていた。今回は中で聴ける。やったね。

 

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(休憩中の劇場入り口前の様子)

 

 そしてチケットは当然とっくに売り切れ。本日自身初ロランド・ビリャソン。良い声だ。だけど想像してたよりは声が大きくなかった。やはり同じ人間か。でも良い声だ。今日の席、3列目、意外と見えるな。すでに安めの席ではもうこのへんしかなかった。もっとほとんど見えないかと想像してたけど。場合によっては2列目より見えるのでは。今日の舞台が開けてて見やすかったのも少しあるか。ソプラノも良かった。

 でもこのオペラ自体はつまらないな。最初からなんか薄暗ーい感じで、最後まで。話してる内容も聴いててはっきりしないというかいらいらするような。でも外で配ってたFÜR ALLE用のプログラム(結構ちゃんとしたのをこれまた無料で配っているという)でベルリン市長が言っているように、今日のこれはAbschied=別れ、であると。一つに、主人公が最後に大きな愛に別れを告げなければならないというこのエフゲニー・オネーギンがプログラムにあるからであり、そして今日の公演は改修に向けたウンター・デン・リンデン劇場での最後の公演だからであると。つまり、個人的には今日お祭り騒ぎ的な日にそれほど面白くない(明るくない)このオペラではあるけれども、ビリャソンを観れた聴けたこと自体はとても良かったけど、若干充実感が乏しく感じるけれども、プログラムの選択としてはそういうことかとそのプログラムの挨拶の文章を読んで合点がいった。いずれにしても文句はないですが。ベルリン国立歌劇場で、バレンボイム指揮で、ビリャソンも登場して、しかもこの日に。

 今日は著名人もたくさん来ていたようで、普段より価格上がってるけどもこの席なら8ユーロ(一定の価格帯の範囲内では30歳以下は半額。つまり元は16ユーロ)で聴けたからな。BMWの車が入り口前まで乗り入れられるようにされていてカメラも数台待機。著名人がたくさん乗り入れる。が、誰が誰なのかはまったくわからなかったけど。休憩中に外に出たらたくさんの人、そして自分は外じゃなくて劇場内で聴いているという若干の優越感、に少しぐらい浸らせてください。ともかく聴けて良かった。他のものもそうだけどこれ程の公演でも1000円程度というベルリンの凄さ。割り引きなくても2000円位って。。。その他普段のオペラ・バレエなんか4階席なら500円位で買える。昨日のここでのシューマン生誕200年記念演奏会は400円位で聴けた。新国の価格はどうなっているんだ。今日みたいにビリャソンが出るならまだしも。でも出るならそれはそれでとんでもない価格設定になるんだろうな。日本ではもはや観る・聴く気が無くなっていくばかり。

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