マティアス・ゲルネ&マルティン・ヘルムヒェン シューマン歌曲 2014年10月29日 ウィーン・コンツェルトハウス モーツァルトホール
Matthias Goerne, Bariton
Martin Helmchen, Klavier
Robert Schumann
Abends am Strand op. 45/3 (Romanzen und Balladen) (1840)
Es leuchtet meine Liebe op. 127/3 (Fünf Lieder und Gesänge) (1840)
Mein Wagen rollet langsam op. 142/4 (Vier Gesänge) (1840)
Dichterliebe / Liederzyklus nach Gedichten von Heinrich Heine op. 48 (1840)
***
Kerner-Lieder op. 35 (1840)
Mozart-Saal
座席 1階左18列10番 後半2階3列ど真ん中
マティアス・ゲルネとマルティン・ヘルムヒェンによるシューマンの歌曲。「詩人の恋」は昨日に続き二夜連続。
ゲルネは今年の5月に紀尾井ホールで初めて聴いた(記事→「マティアス・ゲルネ 『冬の旅』 2014年5月14日 紀尾井ホール」)。
ヘルムヒェンはベルリンで一度聴いたことがある、と思っていて過去の記事を見ていたら2回聴いていた。厳密には3回聴いていた(記事→「ベルリン・ドイツ交響楽団(Deutsches Symphonie-Orchester Berlin) ブロムシュテット指揮 2010年1月7日&9日 ベルリンフィルハーモニー」、記事→「ベルリン・フィル ブロムシュテット指揮 ブルックナー交響曲第6番 2010年6月3日 ベルリン・フィルハーモニー」)。今気づいたけど指揮者がどっちもブロムシュテット。当時はヘルムヒェンはまだ20代後半。期待の若手なんだろうけど、別に...、っていうのがその時の感想だった。
演奏者が10分経っても出てこない。そういえば紀尾井ホールの時もそうだった。いつもそうなのか、などと思っていると関係者が出てきて嫌な予感。心配しないでください、と年末年始の第九でもゲルネが歌うとの宣伝と、前半の3曲の順番を逆にするとのこと。
3曲から「詩人の恋」へは大きな切れ目なく入っていった。「詩人の恋」の1曲目からため息の出るような美しさ。昨日とは全く別物、比較の対象にすらならない。一音一音、一つ一つの発音の美しさ。表現に込められた感情の吐露。ピアノも素晴らしかった。あんなに素晴らしい伴奏をしてくれるなんて。ヘルムヒェン、良い意味で期待を裏切ってくれた。今日の彼は
かつて聴いた時とは違って、眼鏡をかけていた、全体に風貌にとても落ち着きのある印象だった。丁寧な伴奏、などというものではなく、歌手と対等に向き合うといった感じだ(ただ、ゲルネにここまで引き上げられた、という風にも見える)。とても積極的で、切れ味鋭い演奏。新鮮だった。例えば第6曲のIm Rheinではバッハを聴いているかのような感覚。
ゲルネの歌唱はどこをとっても素晴らしかった。一番胸が熱くなったのはIch grolle nicht。素晴らしい過ぎて涙が出そう。
素晴らしい歌唱・演奏で会場全体にも緊張感が漂っていた。最後の曲が終わっても皆しばらく余韻を味わい、その後大歓声とともに拍手。後半については省略。