フィルハルモニ記

ドイツ文化・思想の人がオペラ・コンサートなどの感想を中心に書いているブログ

シュターツカペレ・ベルリン/バレンボイム指揮/アルゲリッチ ウィーン楽友協会 2015年9月20日

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Staatskapelle Berlin
Daniel Barenboim
Martha Argerich


Ludwig van Beethoven
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調

Edward Elger
交響曲第1番 変イ長調

12, 4, 6, 8, 10
16, 8, 10, 12, 14

座席 立ち見
開演11時

 バレンボイムは昨年11月にウィーン・フィル/バレンボイム指揮の演奏会で接したが、シュターツカペレ・ベルリンを聴くのはベルリンにいた時以来で、かなり久しぶり。ウンター・デン・リンデンで最後に観たオペラもバレンボイム指揮で『エフゲニー・オネーギン』(ロランド・ビリャソンも出演)。演奏会は何と言ってもベルリン・フィルハーモニーでのベートーヴェン・ブルックナーツィクルス全6公演。毎回のプログラムの前半はベートーヴェンの5つのピアノ協奏曲をバレンボイム自身が弾き、もう一日はフランク・ペーター・ツィンマーマン独奏によるヴァイオリン協奏曲、プログラム後半はブルックナーの交響曲第4番から第9番まで。これが最後となった。シュターツカペレ・ベルリンの演奏は今日はその演奏会以来。この時のブルックナーの交響曲はすべてBlu-ray/DVDになった。
シュターツカペレ・ベルリン/バレンボイムは2016年2月に東京で第1番から第9番までのブルックナー交響曲ツィクルス演奏会(11日間で9つの演奏会)を行う。プログラム(第5、7、8番以外の)前半はモーツァルトのピアノ協奏曲、すべてバレンボイムによる弾き振り。これと同様のツィクルスを2012年6月にウィーンで行っている。2016年2月、これを2番目の都市として東京で敢行する。本拠地のベルリンですら第4番以降の上記記事のツィクルスしかやっていない。日本の(のみならず世界の)演奏会史上に残る演奏会になる。


 シュターツカペレ・ベルリン/バレンボイム、懐かしいし、しっくりくる。今日はここにアルゲリッチが加わる。アルゲリッチはまだ聴いたことがなかったので、今日はまたとない機会となった。ただ、この演奏会に気づくのが遅く、気づいた時には立ち見だけ。最終的には売り切れ。それでも会場に入って聴けるのでよし。さすがに立ち見ゾーンはいつも以上に人が多かった。

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番。今までに2回聴いたことがある。ハイドシェック(オペラシティ)とバレンボイム(ベルリン・フィルハーモニー)。そのバレンボイムの指揮で今日はアルゲリッチ(ウィーン楽友協会)。
 アルゲリッチは才気あふれる鋭い演奏を聴かせてくれた。オケの方もさすがバレンボイムと言うべきかぴったり息が合っている。どの楽章も良かったが、第2楽章の沈み込んでいくようなあの世界は内田光子など本当の一流のピアニストたちだけが連れて行ってくれる世界。演奏が終わり、カーテンコールの最中、スタッフが素早くピアノの譜面立てと椅子を用意する。やってくれた!にわかに期待していた通り。バレンボイムとアルゲリッチの2人が1台のピアノを弾く。その光景は壮観で、神々の共演、とでも言ったところ。シューベルトのロンド D951。譜めくりストはコンミスが務める。陰影に富んだ色彩感溢れる音楽は聴く者を別世界にいると錯覚させるよう。音楽の化身のような2人の演奏は、もはや周りがあれこれ言うところにない。居合わせることができて幸せ。そんな気分だ。10分ほど、ウィーン楽友協会の黄金のホールが夢のような音楽で満たされた。この2人は4月にもウィーンで共演する。

アルゲリッチ&バレンボイム デュオ

アルゲリッチ&バレンボイム デュオ

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2014年4月ベルリン・フィルハーモニー(LIVE)


 休憩中に帰る人がやはりけっこういた。立ち見ゾーンの人数は半分くらい減った。多少快適になり、後半のエルガー。同じ立ち見でも前に位置取れば多少聴こえは良くなる。開演11時の演奏会。天気も良く、窓から空の青さが伝わる中、エルガーを堪能。力強く各声部が鳴りつつも埋もれてしまうほど分厚く重なり過ぎない。13時過ぎに終演。演奏会後には、会う約束をしていた知り合いに会うため国立歌劇場の方へ向かった。

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