シェーンベルク 『グレの歌』 東京フィルハーモニー交響楽団 2013年2月23日 オーチャードホール
2013年2月23日(土)15:00開演 Bunkamura オーチャードホール
シェーンベルク 『グレの歌』(初演1913年2月23年 指揮フランツ・シュレーカー)
指揮 尾高 忠明
テノール 望月 哲也
ソプラノ 佐々木 典子
アルト 加納 悦子
テノール 吉田 浩之
バス/語り 妻屋 秀和
合唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
(オリジナル編成:オーケストラ約150人、合唱約120人、独唱5人)
席 1階16列32番(舞台拡張で数列つぶしていたため実質9列目)
当初2011年3月に予定されていたプログラムが震災の影響による公演中止を経て、同じキャスト(テノール高橋淳体調不良によりキャスト変更)での2年越しの実現をみた。結果、1913年2月23日の初演からちょうど100年後の2013年2月23日に行われることになった記念碑的な演奏会。
全体は3部に分かれている。ただ第2部はほんの5分ほどで、第1部後に休憩をはさんで実質前後半の2部構成といったところ。演奏時間は60分、5分、65分程。シェーンベルクは作曲にあたって53段スコア特注したという。そしてシェーンベルクがこの曲を書き始めたのはなんと26歳のとき!
全体を聴いて、いやすでに第1部を聴いた時点で、重唱がないことに対する不満を感じた。一言で言うともったいない。第1部などヴァルデマル王とトーヴェの重唱があってもよさそうだがまったくない。なので王とトーヴェの親密さが伝わってこない。そしてそのまま話が進んでいきトーヴェは死ぬ。ここで思ったことは、やっぱりワーグナーは凄いということ。長い、とか茶化しつつもいつの間にか引き込まれている。ワーグナーのオペラだって筋書きは変(女性の献身。そんなわけあるか、という程の)なのにいつの間にか引き込まれている。この『グレの歌』ではどうもそうはいかなかった。
このことに関して考えられることは、元々が詩であって、それに沿って作曲した結果が独唱が交互にくるこの構成だということ(例、マーラーの『大地の歌』等)。それにしてもどうにかならなかったのかと思ってしまう。
それぞれのパートがパート内でさらに細かいパートに分かれている。しかし…、複雑すぎて聴き取れない!しかも席がかなり前の方だったこともあって視覚的にも全体が見渡せずどこで何がどうなっているか把握しずらかった。そして…、オケの音量が大きすぎてソリストの歌手の声が聴こえない!前の方の席だったから聴こえたものの、後ろの方の席の人はきっと聴こえなかったに違いない。演奏会後に聞いた話ではあれでもソリストが歌うときは音量に注意するようさんざん指揮者に言われたとか。スコアも少し見させてもらったがそれはそれは複雑。
思うことはあれこれあるが、シェーンベルク『グレの歌』は今後聴く機会がなくてもおかしくはないプログラム。それを初演からちょうど100年後に聴くという非常に良い機会だった。
(当日配布された「大入り袋」に入っていた記念フレーム切手)